【ゴールデンカムイ】兵器な彼女2【尾形百之助】 (ページ11)

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61話。ページ11

Aside

｢お前の髪の毛は真っ黒だな。それによく櫛が通る｣

『そうですか？でも...動く時に邪魔だし切ってしまおうか迷ってます』

｢好きな方を選べばいい。お前はどんな髪型も似合いそうだ｣

彼は私の髪をゆっくり梳かしながら、しばらく黙り、また話し始めた。

｢...お前、ここに来る途中にすれ違った女のことじっと見てたろ。お前と同い年くらいの。｣

『え？.....ああ、団子屋の前に男の子と一緒にいたあの女の子ですか？』

｢ああ。.......羨ましかったか？｣

急にそう言われ、言葉に詰まる。彼の言っていることはどういうことだろう？私の髪をいじってるばかりで、尾形上等兵は後ろを向かせてくれなかった。

『尾形上等兵、どういうことですか？』

｢...お前だってあんな風に、着物を着て、普通に恋をして、いつかは結婚して子どもをもうける...そうなる未来もあったかもしれない。それを俺が潰したと思うと...な。戦争に引き入れたのは俺だ。｣

『尾形上等兵は、私にそうしていて欲しいんですか？...軍服はお嫌いですか？私は普通に尾形上等兵を愛してます。私は着物が嫌いです...動きにくいので。でもあなたが望むなら着ますよ』

何を今更。そういえば前に月島さんが言った言葉を思い出した。尾形上等兵に対して言った言葉。｢お前があの子を地獄に引き入れた。｣尾形上等兵に連れてかれる地獄なんて、天国の間違いでしょ？

すると、彼は後ろから抱きしめてくれた。

｢...俺は、お前の軍服姿が好きだ。戦うお前が好きだ。...俺にだけ見せてくれる優しい笑顔が好きだ...お前だけなんだ、俺を受け入れて、俺がいることを喜んでくれるのは｣

『あら、奇遇ですね。私も全くあなたと同じですよ。』

そう言って笑ってみせると、尾形上等兵もまた小さく笑った。久しぶりに見た彼の笑顔。よく見ると、目の下にクマができていた。

『最近ゆっくり寝てませんでしたからね。疲れてるでしょう、早く湯浴みして早く寝ましょう』

｢ああ.......ありがとう｣