44話。 ページ44
Aside
『逃げましょう!』
彼の手を引いて逃げ出す。白石さんもアシリパさんも、杉元さんでさえも全力ダッシュしていた。
『っはぁ……大丈夫ですか、尾形上等兵』
なんとか逃げきって彼を見ると、ゼーゼーと呼吸が荒くなっていた。
「……はぁ、はぁ……大丈夫に見えるか……」
『銃ばっか撃って動かないから体力落ちるんですよ、一緒に運動しましょう?』
「……夜の方で頼む」
『やめてください!!』
「ちょ、ちょっと2人とも……痴話喧嘩はやめてよォ…」
白石さんに言われて我に返る。みんなの顔を見ると、アシリパさんはにやにやして杉元さんは真っ赤になっていた。
「……なんか腹減ったな」
「確かに……アシリパさん、狩りにでも行こうか?」
「そうだな!ここらだと鶴が捕れる。捕まえに行こう」
そう言い2人は湿原を行ったり来たりして、しばらくして帰ってきた。鍋を囲みながら、アシリパさんは杉元さんに質問した。
「そう言えば、なんで杉元は金塊を探してるんだ?」
「あれ、言ってなかったっけ?親友の奥さんが目の病気で、その治療費のために探してるんだ」
そうだったんだ。杉元さんの顔を見ると、どことなく影を纏っていた。
「……惚れた女の為ってのは、その未亡人のことか?」
急に尾形上等兵の声が響く。アシリパさんがはっとして尾形上等兵の顔を見た。可愛らしい顔に少し曇りが見える。
「えっ、そうなの?」
「………」
尾形上等兵、わざと言ってる…。アシリパさんが杉元さんに対して、少なからず好意を持っていることを知ってて言ってるんだ…性格悪…。
『尾形上等兵…』
「フンットリ!!!フンチカプ!!!!」
若干の修羅場になりかけたが、アシリパさんが急に踊り出したことで緊張感が解けた。
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名無し(プロフ) - 最高です! (2021年5月2日 17時) (レス) id: 856a63e0b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:4番くん | 作成日時:2021年4月18日 8時