【ゴールデンカムイ】兵器な彼女【尾形百之助】 (ページ38)

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38話。ページ38

Aside

木にぶつかる、そう思った時、鯉登少尉が私を抱きとめた。

｢大丈夫かA！｣

『…ええ。お気になさらず』

このまま上手いこと煙に巻いて逃げ切るつもりだったのに…当の本人に助けられてしまえば元も子もない。

｢なぜお前はそんなに尾形百之助が好きなのだ！俺でいいだろう！俺はお前をこんなに大切に思っているのだぞ！｣

『だってあなたには鶴見中尉がいるでしょう。いいじゃないですか、それで』

｢鶴見中尉は別だ！私は知っているぞ。お前、金塊になど興味無いのだろう？尾形が鶴見中尉側の人間だったら大人しく我々と行動するはずだ。だから尾形が悪い！お前をたぶらかすから…｣

ああ、また始まったよ鯉登少尉の暴走癖。てかいつになったら降ろしてくれるのかな、ずっとお姫様抱っこされるの、ちょっと恥ずかしいんだけど。

｢まあいい。さ、顔を見せてくれ。怪我してないか見るから｣

そう言い顔を近づける鯉登少尉。
言わずもがな、彼の顔はとても整っているわけで。もちろん私の中では尾形上等兵が1番だけど、ちょっとドキッとする。

｢…お前は本当に愛らしい顔をしているな。裏腹に、男一人を抱き上げる根性、そして敵には容赦しないその思考…たまらないな、本当に｣

『っ、……』

する、と頬を撫でられた。女の人みたいに細いその指で撫でられたら、さすがにぴくっと腰が動く。

｢…なんか、色っぽくなったな。…もしかして尾形に抱かれたか？｣