【ゴールデンカムイ】兵器な彼女【尾形百之助】 (ページ37)

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37話。ページ37

Aside

あんな大きい気球初めて見た……。大きいな…。

｢全員下がれッ！もっと離れろ！｣

｢おいっ早く動かせ！動かしたらとっとと降りろ！｣

あ～あ……これじゃまるで、私たちがとんでもない悪人みたい。

気球に乗り込み、杉元さんをゆっくり座らせてから銃で乗り込もうとする人たちを殴る。ああ、ごめんなさい…この気球、試作品だし許してね。

だいたいを蹴落として気球がかなり空に浮いた時、一瞬ぐらっと傾いた。はっとして見ると、鯉登少尉が登ってきていた。

｢鯉登少尉……！俺がやる、銃剣をよこせ｣

杉元さんが尾形上等兵にそう言い、受け取る。

｢気をつけろ。自顕流を使うぞ。2発撃たれた状態で戦える相手じゃない｣

｢んッ！？……尾形百之助貴様………はっ、Aもいるじゃないかッ！！A、ないごてこげんところにおっど！やっぱい尾形百之助しか眼中になかとな！？おいはこげんわいんこっを愛しちょるんに…おいじゃやっせんのか！｣

『鯉登少尉…何を言ってるか全く分かりません…』

｢何を言ってるかさっぱりですなぁ、鯉登少尉は興奮すると早口の薩摩弁になりもすから…｣

ああああ、そうやってすぐ煽る…。

それにブチ切れた鯉登少尉は、何か叫びながら杉元さんを襲った。さすがの杉元さんも、これだけ傷ついていればキツイだろう。仕方ないけど鯉登少尉には落ちてもらうしか…。

そう思って彼を横から殴ろうとすると、私と同じことを思ったのか、白石さんが蹴りを入れてきた。

『あれっ……あれっ！？』

｢っおい！A！！｣

それを交わそうとしてバランスが崩れてしまい、鯉登少尉もろとも落ちてしまったのだった。

落ちながら、白石さんを救出するアシリパさんの姿、そして、なんとか気球に乗り込めたアシリパさんと白石さん、そして杉元さんと尾形上等兵が、私を呼ぶ声だけが聞こえた。

『大丈夫ですっ！！！なんとか合流するので、私のことは気にせず先に行ってください！！！』

そんな格好つけたことを言って、私は森へと落ちていった。