35話。 ページ35
Aside
その後、コタンに向かいながら歩いていると、鈴川が縄から出ていた。
『...あれ?鈴川が逃げた』
でも彼が向かった方向は、向かっていたコタンがある場所で。
「...いや、アイツアホだろ。ほんとに頭の切れる詐欺師だったのか?」
尾形上等兵はそういいながら、彼に向かって銃を撃った。弾は彼の身体ギリギリを通り抜ける。
それに加勢するように、アシㇼパさんが矢を撃つ。
ああ、もう可哀想になってきた...。
先回りした杉元さんやキロランケさん、牛山さんにも酷い仕打ちを受けながら、彼はまた捕まったのだった。
「俺たちから逃げられるとでも思ったか?...鈴川、これ見ろ。この歩兵銃の目盛り、二千米と書かれてるだろ?二千米先まで届くってことだ。それ以上俺たちから逃げられるか試してみるか?」
え...尾形上等兵、そんなに鈴川に顔近づける...?いいなぁ...鈴川が羨ましい...ていうか私、尾形上等兵に追われたことないや...1度でいいから狙われてみたい...あれ、私ってもしかしてちょっとおかしい...?いやでも、自分でおかしいって思う人は普通だって言うし...てことはおかしくないか...
「それにな、次逃げてまた捕まったらAがおまえの手足の爪剥ぐってよ。痛てぇぞ。コイツめちゃくちゃ上手いからな」
「ひっ...」
『ちょ、尾形上等兵...なんでみんなの前で言うんですか...!隠してたのにッ...』
「なんで隠すんだよ」
『だって...そういうのが得意って.....怖がられませんか...?』
「怖がられるだろうな。覚えてるぞ俺、お前見た目にそぐわず結構酷いことするもんな。囚人の頭を麻酔なしで開けて生きてるまま脳みそに熱した油かけてみたりしてたよなァ...」
「Aちゃん、結構やり手なんだねえ...なんかさ、そういうときのコツ?とかないの!」
ああもう、みんな鈴川を怖がらせようとしてニヤニヤしながら私に聞く...。私本当は射撃とか格闘で高み目指したかったのに...。唯一軍から表彰されたのは、拷問の才能って...こんなのダサい!
『コツは.......最後まで目だけは残しておくことです。壁や床に自分の腸が飛び散ってる情景を見るのはとても辛いんです。目って結構大事ですから...』
「へえ〜、Aちゃん、本当にプロだね。すげえ!」
『あんまり嬉しくないです...』
尾形上等兵は、まるで自分がコイツに仕込んだとでも言いたげに肩を組んできた。いや、まあ実際そうなんですけど...。
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名無し(プロフ) - 最高です! (2021年5月2日 17時) (レス) id: 856a63e0b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:4番くん | 作成日時:2021年4月18日 8時