【ゴールデンカムイ】兵器な彼女【尾形百之助】 (ページ24)

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24話。ページ24

杉元side

Aちゃんは、ゆっくりと話し続けた。

『父はその騒ぎで膝を撃たれ、致命傷になる傷では無かったので倒れ込んでもがき苦しみました。私はただ、それを眺めることしかできなかった。助けようと思えば助けられたのかもしれないけど、助ける気にならなかった。そこに現れたのが尾形上等兵です。』

『彼は、私が縄に繋がれているのを見て、売られる寸前だったことに気づいたみたいです。｢アイツはお前の父親か｣と聞かれたので頷くと、｢父親に売られたのか｣と彼はまた聞きました。頷くと、彼は私の縄を解き、私に彼が持っていた銃を握らせました。そして、後ろから銃を握る私の手に自分の手を添え、銃を支えてくれました』

『彼は、｢父親を殺せ｣と言いました。｢親殺しは子どもの通過儀礼だ｣と。なぜだか酷く安心したんです。引き金はすぐに引けました。今でも思い出します、あの感触を。父親は私に撃たれて死にました。』

『けれどとうとう居場所の無くなった私は困りました。それこそ本当に体を売らなきゃやってけないかもしれない。そう思ったけど、彼は私を抱き上げ本部へ連れてゆきました。ことの成り行きを鶴見中尉に説明し、了解を経て私は第七師団に入隊することになりました。確か16の頃です。』

『尾形上等兵がいなければ、私、生きていけなかったかもしれません。だから彼に忠誠を誓った。』

彼女の眼を見た。真っ直ぐで、凛々しくて、たくましい。はっきり言って彼女とやり合って勝てる自信は無かった。

彼女の強さはその狂気的なまでの信仰心から来ているのだと思うと、尾形にも彼女を虜にする魅力があるのだと確信した。

｢君にそんなに大切に思ってもらえるなんて、尾形は幸せ者だよ｣

『逆ですよ。尾形上等兵と出会うことが出来て、私は本当に幸せ者です。運が良かった』

そうして笑う彼女の笑顔は、一点の曇りもない、可憐な少女の笑顔だった。