17話。 ページ17
Aside
『...死んじゃったかと思った...』
剥製をまで戻りながらすまし顔で髪をかきあげる彼を見て、本当に安心してぼろぼろと涙が溢れてきた。
「な、泣くなよ...前も言っただろ、俺はお前に泣かれると弱いんだ...」
彼はそう言いながら、目尻の涙を親指で拭いとってくれた。
「お、尾形が優しい...」
杉元の声に、彼をきっと睨みつける。
『...尾形上等兵はいつでも優しいです...』
そんなふうに話し込んでいると、家に着いた。しばらくして土方さんたちとも合流すると、杉元と土方さんの間をぴりぴりとした空気が纏った。
「お前が土方歳三だな?あんたにあったら聞きたいことがあったんだ。...お前はのっぺら坊をも出し抜こうって魂胆だったのか?...そもそも、のっぺら坊はアイヌかな?」
「私の父はっ...!」
アイヌの女の子がそう言った瞬間、土方さんが声を上げた。
「今ここで、協力するか殺し合うか選べ」
どうして今土方さんは彼女の言葉を遮った?「私の父」?
...この女の子、もしかしてのっぺら坊の娘なの...?
びりびりとした空気が流れる。
けれどそれは、彼女の腹の音で打ち消された。
『お腹空いてるの?』
「そ、そんなことないぞ!」
彼女は笑いながらごまかしたが、それでもずっと鳴っていた。
「何か私が作りましょうか?」
と、ドアから現れたのは家永さん。尾形上等兵から聞いたけど、彼女、実は男らしい。しかもおじいさん。信じられない。
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名無し(プロフ) - 最高です! (2021年5月2日 17時) (レス) id: 856a63e0b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:4番くん | 作成日時:2021年4月18日 8時