昨日の約束

おまけ F ページ42

部屋の中の家具はすべて最低限のものにした。
お金に余裕がないだからここに越してきた。
そう、北山に隣に越してきたことを運命だと思ってもらえるように。
こんなにも調べあげてるだなんて。
思われないように。


エアコンだけは誤算だった。
北山に快適な温度を提供しようと思い、いい物を買った自覚はある。エアコンなんてそんなに見ないと思って。
しかし、この部屋が狭くてボロすぎて。普段主張しないはずのエアコンが有り得ないくらい主張してきていた。



除湿は寒いとか怒られるし。
買い換えるかなー。


時計だって。
父親から贈られた高価な時計も勿論大切だけど･･･


北山とお揃いの腕時計の方がオレにとっては何倍も価値がある。



テーブルの上で。
黒と白の腕時計が並んでいる。
それを見るだけで幸せな気持ちになる。



「愛してる･･･」



寝てるお前をギュッと抱きしめた。


「・・・んー、」


"ひとつだけ条件がある"


玉森が言った条件。



"ガヤからは告白しないこと。ミツがちゃんとオレを振ってガヤに気持ちを自分から言ったら…その時は許す。受け入れてあげて"


"そしたら、本当に諦められるから"



奪われるんじゃない、北山が選択をする


それがタマのプライドだったのかもしれない。


北山を守り続けてくれた玉森の愛情ー･･･



でも、絶対に負けない。


離れた後もイギリスでずっとずっと毎日毎日。
北山の写真を見ながら頑張っていた。


慣れない土地も。
日本に戻るために。



北山に
宏光に逢いたかったから。



北山との"ずっと一緒"だという約束を守るために。



言い出せなかったのもあるけど…
だから、別れの挨拶はしたくなかったのかもしれない。



別れもせず、連絡を遠距離で続けても･･･好き過ぎてうまくいかない気もした。
中途半端に不安にさせて不安になって逢いたい日々に押し潰され、お互いが潰れるのが怖かったのかもしれない。


中学生はまだ子どもだった。
自分の力では日本に住むことも戻ることもできなかったから。



「･･･んー、たいすけ、」
「おはよ」
「ん。」
「じゃあ･･･もう1回スる？」
「・・・ばか/////」


こんな可愛い顔、誰にも見せないで？



約束だからー･･･



END

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