昨日の約束

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みんなで集まった次の日。起きたら自分の部屋のベッドだった。部屋には他に誰もいなくて、玉森に電話をかけると俺が寝ちゃったから送ったと言われた。昨日感じたあの温もりは玉森だったのだろうか。全く途中から記憶がない。温かい夢だった。
おそらくタクシーに乗せおぶってくれたんだろう。
本当に申し訳ない。つーか。何で寝てるの、俺。
意味不明すぎでしょ。


･･･せっかく藤ヶ谷の隣りにいれたのに。
･･･せっかく手を繋いでくれていたのに。


この記憶は夢じゃないよな？･･･もしかして、夢だったりして......笑えないわ。そんなの。


現実だと思いたい。あまりにも幸せだったから。


今日は土曜日のはずで。大学は休みだった。夜はバイトが入ってるけど。お昼は昼寝しがてらダラダラ過ごそう。なぜだかちょっと頭痛いし。ズキズキ的な。


もう一寝入りしようと、再び布団を被ると聞こえてきた来客を知らせるチャイムの音。
･･･なに？
玉森ではない。さっき俺からの電話で起きたようだったし。何か宅配便頼んでたっけ？
肉の詰め合わせ？家電の福袋？
いや、そんなの頼んでない。金ねーし。


どうせ何かの勧誘だろうと思い居留守を貫くことに決め息を潜める。


すると、急に聞こえてきた自分を呼ぶ声。


「北山ー！起きてる！？」


え？え？え？
その声は絶対に隣人だった。あいつの声を自分が聞き間違えることなどありえない。


頭痛など吹き飛ばすような威力。
思い切り起き上がると、帰ってしまわないように猛ダッシュで玄関へと走る。
狭い部屋でよかった。玄関からの距離が近いため離れていても声もちゃんと届く。


「起きてる！」


全力でドアを開けると、ドアの先には有り得ないぐらい爽やかな笑顔と服装を身にまとっている声の主ー･･･藤ヶ谷が立っていた。


「寝てんじゃん」


寝起き過ぎる俺を見てなのか、ぷっと笑う藤ヶ谷。


「お、起きてる」


嘘ではない。寝起きだけど。多分俺昨日風呂入らず寝たけど。っつーか、汚っ。こんなどんな姿をしているか不明な自分を藤ヶ谷に見せてしまったこと･･･不覚だった。腕を見れば、昨日と同じ裾が見える。何も着替えずそのまま寝てしまったということだった。


「買い物行かね？一緒に」


そんなグダグダな俺を買い物に誘ってくれる藤ヶ谷。初めてだった。再会してから、初めて誘われた。昨日の集まりの効果か…よく分からない。


でも、


「行く！でもちょっと待ってて！」


このままでは行けない。

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