Z=−32:違和感×違和感 ページ34
千空side
「千空センセ〜首治す薬作ってくれよ〜」
千空「どこが悪ぃのか検査して来い」
今日も今日とて科学室に我が物顔で居座るA。最近は首筋が変に凝り固まって鬱陶しいと喚いていて、来る度に俺に薬を作れと無理難題を押し付けてくる。
部員「千空なら薬作れそうだけどな」
部員「確かに。生粋の科学オタクだからなぁ…」
千空「だぁから、コイツが病院行かねぇのが拗らせてる原因だっつってんだよ。さっさと行って検査なり何なりしてもらってこい。病院だったら薬出してくれんぞ」
「病院は好きじゃないんでね〜。まぁ、マジで思ってる訳じゃないから安心しなよ。流石に高校生に製薬しろって本気で言うほどとち狂ってるつもりはない」
これも毎回言う事。毎度毎度乗っかる俺も俺だが、同じ話題しか持ってこねぇコイツが全体的に悪い。
「んで、今日は何すんだい?……お、これガソリンじゃ〜ん。物騒〜」
千空「燃やすなよ」
部員「な、なんでガソリン……?」
「ペットボトルキャップから作れるっしょ。君ら何気に危ないモン持ってる訳よ〜気ぃ付けてね」
Aの科学知識の大部分は、俺が話したもので占められてる。ガキの頃から俺の話を聞いては、何が楽しいのか"私もやれそ〜"と笑っていた。俺も知識の整理にアウトプットは必要だったし、聞き手が居るのはおありがてぇ話だったが……普通なら一方的なマシンガントークは誰だって飽きるし、全部が全部頭に入る訳じゃねぇ。
「お、大樹じゃないか〜どしたの?」
なのに、コイツにはそんなの無かった。俺が言った事はどんな些細な言葉までも覚えていたし、何なら俺の考えに口を出してくるようにすらなった。とんちんかんなものがほとんどではあったが、中には核心を突くような指摘があったのも事実。
……でも、
「そっかそっか〜告白ねぇ〜?上手くいく事を祈ってるよ。頑張りな!」
大樹「ありがとうA!」
また嘘を言う。
千空「……」
「ん?なぁ〜に千空、手伝って欲しいなら言いなって」
千空「首、マジで痛てぇなら保健室連行すんぞ」
「だからそんなでもないって〜キッショい事言わないの!」
もうちょいマシな口説き文句考えろよ〜、と笑うAは、少し力が入ったような手で首元を押さえた。
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作者名:すみた先生 | 作成日時:2022年2月26日 21時