117発目 ページ34
互いに踏み込まない事
これが知らず知らずのうちになっていた俺らのルール。3人の関係を表現する言葉なんか俺は知らねぇが、まぁ手合わせ出来て強くなれんなら何でもいい。
ｳﾞｰｳﾞｰ
「ん？……なんだ？」
《今どこですか？KINGがアンタの事探し回ってて喧しいんですが》
電話は後輩からだった。2人は気にせずにテーブルの上のサンドイッチを頬張っている。俺の分も残せと視線で伝え、電話越しに顔を顰めてるであろうSUGARに言った。
「見回りだよ見回り。最近フクロウの下っ端が彷徨いてるみてぇだからよ、何かある前に片しとこうと思った」
《KINGには？》
「アイツが来ると目立つし面倒だから何とか宥めてやれ。あと2、3時間したら戻る」
《了解です。何かあれば連絡ください》
気だるげな声を最後に電話は切れた。
「お前バカだなぁ、ンな嘘すぐバレるっつーの」
「あぁ？」
怖、と肩を竦めたQUEENを睨んだ。
「お前知らねぇ訳じゃねぇだろ。このご時世携帯の位置情報なんか一発だ、もし今話してた相手がお前に違和感持ってたらどうすんだ」
最後のひとつを手に取って口に放り込もうとしたのを止め、すぐさま自分の口に入れた。
「そこまで分かってて、なんでQUEENは危険を冒してまでここに来るんだ？」
「決まってんだろ。死なねぇ為だ。まあ？俺ぁ自分が強いのなんか百も承知だけどな？」
片眉を上げて見下ろしたQUEENは一々癪に障る。
「……でも、驕ってられっかよ。すぐ隣に俺より強ぇ奴が居んのに、呑気に鼻伸ばしてらんねぇのよ」
確かに、コイツ含めPhoenixは嫌いだ。でも、アイツが欲しがるのも分かっちまうのが悔しい。
「ウェスト、ROCK。
俺がJACKを守ってるように見えるか？俺はお前らより強ぇけどな、俺の最終的な目標は……
.
俺がこの世で誰より強くなる事だ。邪魔ならJACKでさえ殺す、もちろんテメェらもだ」
イラつくが、何となくコイツならやってのけてしまうのではないかと思う。
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作者名：すみた先生 | 作成日時：2021年4月10日 18時
