118発目 ページ35
「トイレ行ってくる」
「あと3分で始めるからなー」
体を動かしながらウェストを待つ。
「……QUEEN」
「あ？」
「この前言った────────」
.
ﾀﾞｧﾝｯ!!
突然鳴り響いた一発の銃声。俺とROCKのちょうど間の床に、弾がめり込んでいた。直ぐに振り返ると
『やぁやぁ。3人仲良く密会か……妬けるなぁ私も誘ってくれよ』
帽子を深く被った長髪の人物……もとい叶多が居た。……いや、叶多じゃなくJACK。
『悪いけど、ウェストには帰宅してもらったよ』
しっかしまぁ……と、次弾を装填しながらJACKは一歩二歩と近付いてきた。俺もROCKも顔が強ばっている。背中に汗が伝った。
『大した度胸だね。
で、何か言い遺すことはあるかな？QUEEN』
額に銃口を押し付けて問うJACK。
「……！」
近くなった距離でその目が見えた。
『無いなら……残念だね』
光の無い、濁った目だった。……周りが見えてねぇ、ガキの頃からのこいつの特徴。
引き金に指がかけられた。
「誤解だJACK」
『……ROCK、共犯だよ。裏切り者の言葉に誰が耳を貸すと思う？』
「2人とはただトレーニングしてただけだ。お互いに関与しねぇようにしてるし、実際QUEENからは何も聞いてない」
『あー違う違う。そうじゃなくて』
JACKはROCKに顔を向け
一段と低い声で
『黙ってろって言ったんだ。お前には何も聞いてない』
「……」
『で、QUEEN。本当に何も言わないならサヨナラだけど、いいかな？』
グッ……と指に力を入れたのが見えた。……これはハッタリじゃねぇ、脅しでもねぇ。
拳に力を込めた。
『……しょうがないな、こんな世界じゃ』
「待て」
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作者名：すみた先生 | 作成日時：2021年4月10日 18時
