91発目 ページ8
「お、案外早いお目覚めだね。まだ寝てても良かったんだけど」
「……ぶち殺す」
「そんな事出来んの?」
「知るか」
手足は縛られ、体は痺れている。隣には同じ格好の奴がもう1人。まだ気絶しているようだった。
意識を目の前のそいつから外さないようにちらりと周りを見た。
……白い。ウゼェくらい白いとこだ。所々エメラルドグリーンの装飾があんのがますますキメェ。
「……どこだ」
「お前なら分かると思うけど?まさか馬鹿な訳じゃないよね?」
確かに聞かなくても分かる。Leafのアジトだ。
ったく、こんな事になんならCatなんかと手ぇ組むんじゃなかった。
「俺はね、お前らと一度話してみたかったんだ」
「……はっ、こんなもてなしじゃあ話す気にもなんねぇな」
「うーん……確かにそうなんだけど、でも拘束を外したら逃げるでしょ?」
「ったりめぇだ。つかこんな拘束意味ねぇぞ。俺なら今からでも千切れるぜ」
「別に良いけど。でもホントにやって大丈夫?ここがどこだか、俺たちがどんなファミリーなのか、知らない訳じゃないでしょ」
しゃがみこんで嘲るこいつに噛みつきたい衝動を抑えながら、脱出方法に思考を馳せた。
すると、扉が開いた。
「KING」
「はいはーい!今行くー」
「……起きたのはそいつだけか」
「中々タフだよ。ROCKと同じくらい」
「知るか。さっさと行け」
「厳しいな〜」
KINGは鼻歌を歌いながら出て行った。ROCKと呼ばれた、他と比べたら少し背の低いそいつは、出て行かずに俺の前に来た。
「……俺ぁ男とお見合いする趣味はねぇぞ」
「俺もねぇよ」
「出て行けよ。じゃねぇと殺すぞ」
「縛られて動けないお前の言葉は説得力が無い」
「そーかよ」
隣の奴は起きる気配が無い。
「1つ忠告しとく」
「あ?」
ROCKは扉の前に立って、俺に背を向けたまま続けた。
「そのままだといつか死ぬぞ」
俺の思考回路を置き去りに、扉は閉められた。
「……余計なお世話だっつーの。
んなの覚悟の上だわ」
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作者名:すみた先生 | 作成日時:2021年4月10日 18時