誇りが21つ ページ23
「頭痛……ですか」
『うーん、二日酔い……にしては続き過ぎだと思うのだが』
絶賛しのぶの診察中だ。
「原因が分からなければ処方箋も選べませんし……困りましたね」
「師範」
『カナヲか、久しぶりだな』
「お久しぶりです」
「どうしましたか？」
「この前の稽古の反省点を考えてみました」
偉いなぁ。こういう子が柱になるんだろうなぁ。
「……あの」
『ん？どうかした』
「……腕、切れてます」
腕……？
『本当だ』
かすり傷で少し血が滲んでいる。気付かなかった……
「一応包帯を巻いておきましょう。小さな傷口でも化膿してしまうことがありますからね」
『ありがとう』
この傷……まさかあの鬼が？攻撃は全て避けたか相殺したはずだったんだが……よもやよもやだな。また鍛錬しなければ。
「！……嘉柳さん」
『？』
「まさか、……血鬼術、なんてことはありませんか？」
『血鬼術……？いや、私が斬った鬼の血鬼術は高速移動だったぞ。もう一体は血鬼術も使えないような弱い鬼だったし』
「私、聞いた事があります。姉さんから」
『カナエ殿……？』
「上弦、またはそれよりも上の鬼がいる場合、
血鬼術を二つ使う鬼が存在する可能性がある、と」
2つの血鬼術を……鬼一体につき血鬼術は1つと考えてきたが……まさか
『じゃあ今私の身体には術がかかっていると？』
「あくまで可能性の話です。確証はありません」
カナヲをさっき出ていったようだ。確かにこんな話聞かせたくないな。
『ふむ……もしそうだとするとあの鬼は生きているということだなぁ』
普通鬼が死ねば血鬼術も解かれる。この頭痛が血鬼術によるものだと考えられるなら……仕留め損なった、ということになる。だとしたら不甲斐ないな……
「今日は一応の処方ということで痛み止めを差し上げます。もし続くようでしたらまた来て下さい。その時はお館様にも報告した方がいいかと」
『……分かった』
もし、私が鬼の術にかかっているなら……
いつ死んでもおかしくはない状態だということだ。
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作者名：すみた先生 | 作成日時：2020年10月25日 19時
