「ちょっと僕に利用されてくれよ」 ページ21
瓦礫に巻き込まれたらしいその人は、よくよく見ると、テープくんだった。あーあ、下半身埋まっちゃってんじゃん。痛そ〜
さて、まだポイントロボットは残ってるかな。皆散ってしまったし、終盤という事もあってポイント稼ぎは難しそうだ。
効率良く点を稼ぐ方法……
ていうかこの試験のルール自体になーんか引っ掛かるんだよね。ポイントを積めとしか言われてないし、ヒーロー育成機関としてはちょっと雑。もっと人を助ける的な視点での採点も必要だと思うけどな〜
「はぁ…うるさいなぁデカブツ」
轟音はすぐそこに迫っていた。
「……臭うなぁ」
腕を組みながら、瓦礫に近づいてテープくんを見下ろす。
「ちょっと僕に利用されてくれよ」
「っ、は……？」
重そうな瓦礫を軽石に変えた。テープくんを引っ張り出して、長い腕を僕の肩に回す。そのまま前方のロボットを見つめた。強く、穴が空くほど強く。
「"スイッチ"」
僕とテープくん、ロボットの位置が入れ替わる。ロボットはそのまま進んで行こうとした。
「ちょいちょい待ちーなクソロボ。僕を無視しないでよ。捉えた獲物からは最後まで目を離すな。
ま、機械には無理な話か」
指を鳴らすと、ロボットの動きが止まった。
「君、上半身はまだ動かせるね？あのロボットに潰される前にここを離脱したいんだが」
「！？早く言えっ！」
肘から勢いよくテープを伸ばして、電柱に巻き付けた。体が引っ張られる。後ろで轟音と鉄の軋む音がして、砂埃が舞った。
と同時に、再びマイクの声が響いて試験終了が告げられた。
「クソっ…あんま稼げなかった……」
「僕の予想が正しければ君は合格だよ。良かったね」
「何言って……」
「じゃあ後は救護なり何なりしてもらいな。バイバーイ」
片足折れてるテープくんを地面に置いて、僕は立ち去った。試験会場から出ると色んな顔があった。やりきった顔やら、不完全燃焼な顔やら、それはもう色々。フラフラ歩いていると、誰かの肩にぶつかった。
「あ"ぁ？」
「ワハハーそんなに凄まなくても」
「周り見て歩けやカスっ！」
ツンツン頭の男の子は、眉を吊り上げて僕を睨んだ。
「語尾が幼稚だぜウニ頭くん？」
「ンだとテメェっ！！」
バチバチと掌から火花を散らすウニ頭くん。挑発されやすいんだなぁ、小さな子供みたいだ。
「問題起こして困るのは君だと思うよ。じゃあね」
煽るだけ煽って僕はさっさと帰った。後ろの怒号なんて気にしなーい。
「お前も、まだまだだな」→←「奇遇だねぇ、ここでも会うとは」
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作者名：すみた先生 | 作成日時：2022年8月17日 12時
