「奇遇だねぇ、ここでも会うとは」 ページ20
さてやって来た天下の雄英高校。相変わらず周りと僕の違いが素晴らしいね、私服フラフラと歩いている。普通ならジロジロと見られるところだが、今日に限っては皆自分の命運が決まる事に必死なのか、数人の視線が向くだけだった。
「ん？はて……どっかで見た顔だなぁ」
「な、なんすか…？」
僕は絶賛黒髪の男の子をジロジロ見てる最中だ。逆三日月のような口が戸惑いに歪められて気分が良くなる。
「ああ思い出した。去年男の子を助けてた人だ。その肘が特徴的でさ〜」
「あー…そんな事もあったような……」
どうやら人助けが呼吸と同じってのは噂通りらしい。
「そっかそっか！君も受験するんだ。頑張れよ〜」
「頑張れって……そっちも受験すんだろ？」
「応援さ。ライバルと言えど、僕らが目指すゴールは同じだろう？じゃあね、テープくん」
ひらひらと手を振って立ち去る。試験会場に入ると、マイクが出てきて説明をしてくれた。筆記試験の後、実技試験を行うそうだ。
特に言う事もない、筆記試験を難無く終えて、実技試験の会場に立つ。
「奇遇だねぇ、ここでも会うとは」
「悪ぃ、集中してんだ」
「おっとそりゃ失礼〜」
ピリピリとした雰囲気はどこも同じだった。もっと肩の力を抜くって事を教えられなかったのかな？
「スタート！！」
急にマイクの声が響いた。なるほどもう始まってんのね、と一人群から歩き出すと、弾かれたように皆は走り出す。僕の事は見えてないように。
ルールを整理しよう。
この領域内には、ヴィランを模したロボットがウジャウジャと居る訳で、それぞれにポイントが付加されている、と。んで、その中には0ポイントのロボットが居て、倒すか倒さないかは僕ら次第。採点基準は明かされていない。
とりあえずポイント稼ぎがメインかな。ロボットなら、どこか回路を弄くれば適当にぶっ倒れてくれるだろう。
僕に群がるロボットはそんな風に倒していった。
40くらい稼いだ頃、試験の終盤でお出ましした0ポイントヴィラン。
「でっか〜」
「何してんだ死にたいのか！？早く逃げろ！」
「ご心配どーもー」
周囲の人間は逃げる。まーこんなポイントにならんゴミの相手なんかしてられんよな〜。分かる分かる、僕もこんなやつわざわざ相手しようとは思わない。
うへ〜、めちゃめちゃ壊すね〜……放って置いたら邪魔くさそー
そんな時、僕の視界で誰かが動いた。
「うっ……」
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作者名：すみた先生 | 作成日時：2022年8月17日 12時
