「利害の一致だ」 ページ19
月日が経って、ユキの中卒認定試験も難無く終わり、本来有り得ないはずの雄英入学試験。
「道は分かるな」
「心配性だな〜ショータ。ちゃんと分かってるって」
俺は一足先に家を出て雄英に向かう。
ここ1年かけて調べて、何となくあいつの素性は明らかになってきた。
戸籍名は、逆A。歳は16。両親はあいつが生まれた数ヵ月後に消息不明になっていた。どこか施設に預けられていた、本人も施設育ちだと言っていたが、肝心な施設名が分からない。
もちろん調べた事はあいつには言っていない。コソコソと嗅ぎ回るような事は、あいつにとっちゃ迷惑極まりないんだろうが……それも仕方ないと割り切った。マイクの奴も相変わらず釘を刺すような事は毎度毎度言ってくるが、あまり真に受けてはいない。
雄英入学試験……あいつなら気まぐれにやめるとかは平然と言うと思ってたが、面白そうだからという理由で入る気はあるらしい。俺としても目が届く範囲に居てくれるのはありがたい。が、如何せん時間が経ってもあいつの真意が読み取りづらい。
ヒーローになりたいと考えてるとは思いにくい。でも何かしらの利益が無いとあいつも動かない事は知っている。単に面白そう、が本心である可能性も無くはないが……もっと他にある気もする。
「グッモーニンイレイザー！！」
「朝からうるせぇ」
「シヴィーッ！」
それより……と声を小さくしたマイク。
「今日あいつ来るんだよな？」
「ああ」
「ホンット前代未聞だぜ？非行少年がヒーロー科入学なんざ」
「俺とあいつの利害の一致だ。そのために校長に頼んで枠を一つ増やしてもらったんだろうが」
「FREEDOM！」
本来の20人に、あいつ用の枠を。試験に落ちれば、純粋にヒーローの卵が21人入って来るだけだが、もしユキが合格した場合に、定員の20人は絶対に入れるようにして欲しいと俺が校長に頼んだ訳だ。
もちろん、校長には全て説明した上で。流石に上の協力が無いと成り立たない。
あとは全て、あいつ次第だ。
「奇遇だねぇ、ここでも会うとは」→←「僕が信じられるのは君だけだよ」
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作者名：すみた先生 | 作成日時：2022年8月17日 12時
