「他人ってのは本当に難しいねぇ……」 ページ14
「Heyイレイザー！今日飲まねぇ？」
「ん」
「んじゃお前ん家行くからな！see you later」
「は？おいマイク、……居ねぇ」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「なるほど。じゃあ僕は外に居ればいいかな？」
「それはやめろ。家に居ていいが、うるさくなる事は先に言っておくって話だ」
「別に気にしないよ。君の友達が暴漢でない限り」
「ああ」
どうやら今日はお客が来るらしい。ショータの同僚だと言っていた。
この家に来て三週間が経って、ショータの事は何となく分かってきたから察しがつく。多分その人はショータの親友にあたるような人物だろう。人との関わりがほとんど事務的なショータが、俗に言う宅飲みをする相手。余程親しい人間なんだろう。
というか、まだショータは僕を追い出す気が無いらしい。家の中でちょこちょこ個性でイタズラをしているが、呆れた表情を見せるだけで逆上したりはしない。まぁ今の僕には勉強という趣味があるから、この家を出ていくのは少し惜しい気もしなくはないんだけどね。
でも、一体いつまでもつのか興味があったから条件を受け入れた部分もあるわけだから、その気配がこの先ずっと無いってなると面白みもなくなってくる。
「他人ってのは本当に難しいねぇ……」
気分転換に散歩でも行こうか。
一応ショータから示された"ルール"には反してない。彼が僕をどこまで知ってるのか定かじゃないが、広範囲にならない程度の外出は認められてる。監視生活っていったら軟禁、酷くて拘束状態かと思っていたけど……ショータ曰くそれは「合理的じゃない」らしい。僕をヴィランだと思っていないからこその判断だろう。
パーカーを羽織って外に出た。冬の冷たい空気が鼻の奥を刺す。いつものように個性で体を温めて歩く。
雪がちらつき始め、息も白い。相変わらず賑やかな街だけど、どこか静けさも感じられて、僕は割とこの季節が好きだったりする。
学校帰りの小学生が友達と走りながら僕の横を通り過ぎた。
「早くー！」
「待って！」
あ〜、こういうのって大体転ぶよね〜
と思って振り返ると、案の定男の子がつまずいた。これだから理性のない猿は……とため息を吐こうとすると、横から何かが伸びてきて、男の子が転ぶ前にその体を持ち上げた。
「あっぶねー……大丈夫か？」
「あ、ありがとう……！」
背の高い男の子。肘が特殊な形だなぁ……
まぁいいや。
「自由気ままだからじゃない？」→←「学校で勉強する気は無いか」
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作者名：すみた先生 | 作成日時：2022年8月17日 12時
