「学校で勉強する気は無いか」 ページ13
適当に夕飯を済ませ、シャワーを浴びた。
「……」
正直驚愕だ。昨夜まで小学1年生並みの学力しか無かった奴が、たった一日であそこまで吸収出来るとはな。只者ではないとは思ってたが……いやまぁ、あの歳で今まで自力で生きてきたんだから馬鹿ではない。むしろ昨日の火事現場では犯人を見抜き、その個性まで……
勘の鋭さ、学習能力の高さ……わりかし話の通じる奴で良かった。あんなのがただのヴィランだったらたまったもんじゃない。
着替えてリビングに戻ると、ユキはまだテーブに向かっていた。
「まだやってるのか。そろそろ寝ろ」
「これが嫌いじゃない理由が分かった気がする」
床にまで散らばった紙を無造作に持ち上げて、照明に翳して笑った。
「これは…欲か。知識欲！知れば知る程、もっと知りたくなる……」
その目には、とてもじゃないが悪が宿ってるとは思えなかった。
「学校で勉強する気は無いか」
「学校ねぇ……正直良いイメージ皆無だし、行かなくても自力で学べる気はするんだよね〜。ショータとしては僕に改心して欲しいから、学校に行かせるのは一種の手段なんだろうけど」
「間違いじゃない」
「第一、まだ君の事を何も知らない。君の言葉に、僕の思案に加えるだけの価値を見出せてないんだよ」
「だとしても、学習意欲のある奴を放って置くのは教師として見過ごせないな」
「どっちも本音だとして、君の主な目的は僕の更生だろう？僕がヴィランとして人々に危害を加えないように監視するのが、ショータのやりたい事。それ以外の事をやろうとするのはあまり得策とは思えないかな」
紙を置いて振り返るユキ。髪乾かしなよと笑う顔は、10代のガキには見えなかった。
「以外、じゃない。お前が学校に来た方が、俺も監視がしやすいから提案してる」
「……君、雄英の先生なんだろう？まさか僕に雄英に入れって言ってんの？」
「そうだ」
「隠す気ゼロか……ん〜、強引な大人は嫌いだけど…僕に何かメリットはあるんだよね？」
「雄英高校はヒーロー育成機関だ、ヒーロー科に入学すればある程度自由に個性が使える」
「っははは！僕にヒーローになれって言う奴初めてだよ。だいぶメンドクサイ性格してるねショータは。……でもまぁ…
ショータに賭けるのは面白そうだ」
楽しそうな目が細められた。
「他人ってのは本当に難しいねぇ……」→←「世に言う勉強ってやつ」
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作者名：すみた先生 | 作成日時：2022年8月17日 12時
