あべこべ君【僕のヒーローアカデミア】【男主】 (ページ30)

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「ムリだよ」ページ30

「……轟、俺は核を探してくる」

確かそう聞こえたと同時だったかな。体が急速に冷えていく。

「無駄な事を……」

と言いつつ視線を戻すと、思い切り僕を睨むオメデタくんと目が合った。
怒ってるね〜、そんなに赤い方を使いたくなかったのかな？使った左手は震えてるし、余っ程の事があったんだろう。

まぁどうでもいっか、と僕は彼を見つめる。強く、穴が空くほど強く。

「"スイッチ"」

オメデタくんは狭い氷の中。僕は開放される。

彼の個性だし、抜け出せないなんて事は無いだろうけど、見せ場と時間を作るには十分だ。

「尻尾くんと透明ちゃんは終わるまで待っててね〜」

ヒラリと手を振って部屋を出て行く。階段に行くと、若干焦ったような表情のタコくんが僕を見つけた。

「言ったでしょ？無駄だって」

制限時間まで残り2分かそこら。何も出来ずただ僕に踊らされて敗北、なんて彼らからしたら屈辱もんだろうね〜。面白そうだ。

「…ならお前を捕まえる。3人とも完全に拘束すれば俺達の勝ちだ」

そう吐き置いて拳を構えたタコくん。ん〜異形型か…手はあるっちゃあるけど、リスクがねぇ〜……出来れば背負わずに勝ちに持っていきたい。何ならこの冷静沈着たる顔に一泡吹かせてやりたい。

「ムリだよ。僕は君の姿かたちも変えられる。女の子の体にはなりたくないだろう？」

まぁーーーこんな脅しが効くなら最初からそうしてるよね。僕が本物のヴィランじゃないと踏んでいるからこその突進だろう。

面倒だけど避けよう。

頃合いを見て彼の周りを真空状態にすれば必然と僕の勝ちだ。

「んー…………」

「(何か嫌な予感がするな……早く終わらせなければ)」

呼吸に意識を注ぐ。息を吸うタイミングだ、そこで僕が個性を使えば…………

「ここっ」

《そこまでだ逆少年！！》

突如大音量が響いて体が強ばった。タコくんも驚いて立ち止まる。

《試合は中止だ。戻っておいで》

「……これだから秩序社会は」

悪態をついてタコくんに背を向け、集合場所に足を進めた。