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#1 ページ2

『誰かが要らないと云う明日は、亡くなった誰かが生きたいとすがりついた明日である。』








嘗て、私の師は言った。人を救うことは確かに正しい。けれども殆どの人間は、自分の事で手一杯である、と。

境遇が似たもの同士の方が、紡ぐ言葉は心に響きやすい。また、良かれと思って誰かを助けようと思っても、その人にとって吉と出るか凶と出るかは分からない。自分の価値観を少しでも押し付けすぎたら、もう手遅れ。



だから人助けは難しいのだ、と。





「?それは、誰の事を言っているの?」


『うふふ。これは、私の新作!タイトルは、生と死!森先生に読ませる約束をしてるのよ!』


「森先生は出張だよ。昨日言っていたじゃあないか」


『あら、そうだったかしら?エリス嬢の服選びをした事しか覚えてないの。』




____時は〇〇年、△△月□□日。私と同い年なのに、最年少幹部となりこうして一人部屋を与えられた太宰治の寝具に寝っ転がって居た時だった。

現在ポートマフィア下級構成員、と言う口実で住み込みされて貰っている。将来、作家志望。


今から2年前、私が16の時に森先生と出会った。師と森先生は私がまだ幼い時(今も子供だけど)に会っているらしく、私を見ては嬉しそうに目を細めた。


「いやぁ、随分と美人になったものだね。12歳以下なら、エリスちゃんの姉妹に迎え入れていたのに」



………初対面でこの発言だったので暫く近寄らないようにしていたが、徐々に自身が購入し、読み終えた本を貸してくれたのもあり、今では親子のような関係である。
そしてもう1人、そう、太宰。彼も2年前に出会った。よろしくね、と云う顔は、全然笑ってない。普通は気味悪がって近づかないのだろうが、そのような程度であの師の弟子になれるものですか。



『初めまして、青鯖さん?』


死んだ魚のような目。その思いを被せた言葉。後に中也には良いセンスだ、と褒められたっけ。
太宰はと言うと、目を見開き固まっていた。その方が余っ程人間らしいわ、と笑った。




「君、変なの」


『あら、普通の一般人が入れるような業界なの?マフィアって、』


「さぁ?どうだろう………私は普通というものを知らないから、分からないよ」


『でも、変だと思ったんでしょう?私を。』


「………そうだね。私、普通なのかも。」




そう言って笑う姿も、人間らしい。
当時は、そう思っていた。

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A(プロフ) - 、さん» ご指摘ありがとうございました! (2018年3月15日 8時) (レス) id: ac1a14e4fb (このIDを非表示/違反報告)
- 実在する人物、団体、アニメキャラ等を扱う二次創作になりますのでオリジナルフラグ外して下さい (2018年3月15日 8時) (レス) id: 7e94334cd1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:A | 作成日時:2018年3月15日 8時

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