捻れた赤い糸【ツイステ】【ヤンデレ短編】 (ページ9)

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続きページ9

「おーいどうしたんだ？」

「何か大きい音がしたんだけどー？」

植物園にいた数人の寮生が歩いて来た。

助けを呼ぶチャンスなのに、できない。

「急に具合が悪くなって倒れたようです。
僕が保健室へ連れていくのでご心配なく。」

にこやかにジェイドが告げる。

懸命に首を振るも、大きな影にすっぽりと埋まってしまい、寮生達は気付いてないみたいだ。

とうとう姫抱きにされ、身体を持ち上げられた。

制服から覗かせた私の足にはあるはずのない鱗が付いていて、
これだけで何の薬を飲ませられたのか見当がついた。

「苦しいでしょう。可哀想に。」

誰のせいで、と心の中で悪態をついた。

「海水に浸かれば少しは楽になれますよ。」

その一言で行き先は保健室じゃないと悟った。

「……っ!(嫌だ!)」

「っ……!!(止めて!!)」

どれも声にならない。

酸素を求める魚のように口をぱくぱくさせるだけ。

最後の抵抗にじたばたと暴れても
体格差と思うように動かない身体のせいで意味がない。

そんな私をジェイドは愛おしそうに見つめ、囁きかけた。

「我慢は身体に毒ですよ。
…さぁ、僕に身体を委ねて。」

暫く抗っていたが
体力の限界が近づき、私は意識を手放した。

人魚姫は、恋人と結ばれる為に生まれ故郷である海を捨てた。

私を人魚姫に例える気はさらさらないが、
私も生まれ故郷である陸を捨てることになってしまった。

終わり