捻れた赤い糸【ツイステ】【ヤンデレ短編】 (ページ8)

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続きページ8

声を失って暫く経った。

元々、声を出さないように生活してたから私を取り巻く日常は殆ど変わらなかった。

唯一変わったことがあるとするなら、
週に一度の頻度でジェイドと一緒に紅茶を飲むようになったことぐらい。

私もジェイドも紅茶が趣味だということを知り、それからは植物園の一角を借りて紅茶を淹れてくれるようになった。

白いティーカップに注がれた紅茶をそっと口に含める。

何の茶葉を使ったんだろ。

今日のは変わった味がする…。

でも、良い香りがして美味しい。

近くに常備してある紙にさらさらと書いて渡す。

【今日も美味しい。】

「喜んで頂けたようで何よりです。」

オクタヴィネルとの契約は噂で怖いものだと聞いていたが、
実際はそうでもないらしい。

単に私の運が良かっただけかもしれないけど。

空になったティーカップを置くと、ジェイドが口を開いた。

「僕達、そろそろ次のステップに進んでも良いと思うんです。」

ああ、契約上『恋人』だから？

この関係は恋愛なのかと疑問に思うが
別に恋愛観に拘りはないから特に不満はない。

ジェイドのおかげで声を失えたし、楽しい時間も過ごせてるし。

いいよ、とこくりと頷いた。

その少し後、私は身体に少し違和感を感じた。

怪訝そうな顔をする私にジェイドが問いかける。

「…効きました？」

何が？

意味が分からなかったから聞こうとペンを持ったその瞬間、鋭い痛みが私の身体の中を駆け巡った。

あまりの激痛に椅子から転げ落ち、
それに続いてティーカップも地面に落ちて割れてしまった。

激痛だけじゃない、息が苦しい…

私は、手に握っていたペンでジェイドに助けを求めようとした、

が、

【助…】

助けて、という文字は、手が震えて上手く形にできない。

黒くてぐしゃぐしゃした塊が白い紙に浮かぶだけ。

というか、「効きました？」？

これは、ジェイドが紅茶に何か薬を盛ったってこと？

一体、どういうつもり？

今すぐ問い詰めようとした。

「………っ…！！」

声が、出ない。

咄嗟に手で喉を押さえる。

そうだ、契約したじゃん、私。