No.96 ページ46
時間が経つのは早いもので、すでに今日はデート当日。
待ち合わせていた湊ちゃんを見つけた。
やっぱり私服だとイメージ違って見える、と
笑う湊ちゃんに私は笑い返す。
「……それにしても、
一体誰が来るんだろうね」
私がそう言うと、
――湊ちゃんの顔が曇った。
触れてほしくないと言わんばかりに。
かろうじて、湊ちゃんは笑う。
「そう、だね。
……誰だろうね」
どうしたのだろうと思うのに
……私はそれを聞けなかった。
聞いてほしくないだろうと思ったし、
何より着けば分かると思ったから。
でも
……なんとなく、不安になった。
そこからバスに乗って十分。
その間中、湊ちゃんは晴れない笑みを浮かべていた。
何かが気にかかっているように、曇った表情をしていた。
「おー、二人ともよく来たな」
渡辺くんは遊園地の入り口で大きく手を振っている。
……まだ、もう一人は来てないようだった。
「っていうか翔太。
Aには会わせる前にちゃんと話すんだよね？」
不安そうな顔で私を見る湊ちゃんに気付く。
「もちろん、そのつもり。
さすがに無理に会わせる気はねえよ」
苦笑した渡辺くんに湊ちゃんがほっとしている。
「――木ノ下さん。
言うなって頼まれたからずっと言えなかったけど――
実はこのデートは俺が提案したことじゃないんだ。
俺は、そいつに頼まれたからこれを二人に持ちかけた。
……木ノ下さんもよく知ってるやつに」
――ずっと感じていた嫌な予感が、
警告のようにがんがんと頭で鳴り響く。
「それって……誰？」
私は渡辺くんに尋ねた。
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作者名：いちご | 作成日時：2020年2月11日 11時
