それでも好きになった。② (ページ26)

今日:13 hit、昨日:4 hit、合計:49,662 hit

No.76 ページ26

「木ノ下さんのこと、知ってるんだね」

「……ん、まあね。

ところで二人はどんな関係なの？

結構仲がいいって聞くけど」

「どんな関係もなにも、ただの友達だよ。

他に何もないけど？」

「……ふーん。

いいね、友達。

目黒くんにとっては一番居心地がいいじゃん。

付き合うとか考えられないから、だっけ？

告白した子に向かって、それはないと思うけどな」

「誠意を持って言ってるんだけどね。

下手に希望を持たせるよりマシでしょ？」

俺も笑みを浮かべ、川波さんを見つめ返す。

川波さんはそれに苦笑した。

「付き合う気はないかあー。

だけど……

木ノ下さんは、どうなの？」

俺は深くため息をついた。

「……どいつもこいつも、なに？

そんなに俺と木ノ下さんを付き合わせたい？」

「うーん……

私としては付き合ってほしいなあ。

でないと向井が木ノ下さんと付き合っちゃうかもしれないし」

……いやに、さらりと言うな。

「目黒くんこそ、

どうしてそんな意気地になってるの？」

不思議そうに、川波さんは尋ねる。

……さっきの渡辺の話を思い出して、

頭が痛くなった。

「別に……何もないよ」

出した声は、

思っていたよりも冷たく、掠れていた。