THIS CRAZY LOVE

ベビードール ページ6

2人で二度寝して、目がさめると朝の7時。

何度も宏光の家に泊まるせいで、私の服のストックがいくつも用意されている。

そのおかげで昨日と同じ服を着て通勤することはない。

「はぁ〜、今日でおっきな企画も終わる予定だし、多分定時で帰れるかな。」

そう言うと、宏光は嬉しそうにネクタイを締めながら

「じゃ、今日来れる？」

「多分、来れそうだったら連絡するね。」

そう言って、メイクをして部屋を出る。

「ん、行ってらっしゃい。」

お互い名残惜しそうに玄関でキスをして、仕事に向かう。


指輪を外したことなんて忘れて…


〜宏光side〜

隣で眠る、愛しい愛しい人。

BARでたまたま出会った、美しい人。

あいつが旦那と別れたくないのは知ってる。いつまでもあいつが結婚って形にこだわってるのは、誰よりも知ってる。

出会ってからもう一年と半年。

ずっと待ってる。

でも、いつも彼女の返事は

「会えてないの。」

そればっかり。

部屋に残った君のベビードール。

愛しく抱き寄せて、彼女の無い面影に浸る。

終わらせない、何があっても、離しはしない。

「…もっと早く出会えてたら…」

届かない、無意味な言葉をつぶやいて、俺はカバンを手に取った。

「あっ…」

彼女から取り上げた結婚指輪が机の上に光っている。

敢えてポケットに入れて、歩き出した。

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