THIS CRAZY LOVE

月明かり ページ25

〜Aside〜

風の音で目が覚めた。

ベットから起き上がると、ベランダの窓が開いている。

宏光は…いない。

まさか…っ！？

最悪の想像が浮かんで、私はベランダに向けて走った。

初めてこんなに焦ったってぐらい、心が急いで仕方なかった。

「ひろみつ…っ！？」

走ると、そこにはベランダから月を眺める宏光。

よかった…と胸をなでおろし、宏光を見る。

彼は驚いたように私を見て、それからいつもの優しい笑顔で言った。

「今夜はいなくならないよ。」

そっと優しく私を抱きしめる。

安堵で涙が嫌なくらいに溢れ出す。

「Aごめんな。大丈夫。お前だけを置いていなくなったりしないよ。

約束するから。」


涙の止まらない、きっと真っ赤であろう目で、私は宏光を見つめた。

無邪気な笑顔と、時折全てを投げ捨てたような苦しげな表情をする宏光。

彼は、彼は…

「宏光、私…」

「ん？なに、？」

少し悲しげな目で、笑みで、私を見つめた。

「…もう、この関係を終わりにしたいの。」



心の中で、全てが崩れ去る音がした。


宏光のあの表情、私にだけ向けた、あの顔。



月光は私たち2人だけを、照らしている。

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