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裕太が私を振り払って、インターフォンに向かう。

藤ヶ谷が私を支えるようにして立たせてくれた。

「わかりました、どうぞ。」

裕太は平然とした顔で来訪者と会話している。

藤ヶ谷がその隙を見て、私の耳元で囁いた。

「不倫相手の家だろ、わかってる。」

ドキッとした。

「…そうだよ…」

私が力なく呟くと、藤ヶ谷は私に結婚指輪に実によく似た指輪を差し出した。

「付けとけ。」

そう言って、私の頭をポンっと軽く触った。

すぐに左手の薬指につける。

自分でも思うが、本当によく似ている。

藤ヶ谷はどうしてこんな酷似したものを持っていたんだろう…。

「ありがとうございます。お世話になりました。」

玄関で裕太が宅配便屋さんと話している声が聞こえた。

荷物を受け取って、リビングに入ってくる。

「俺、そろそろ帰るな。あと、指輪、見つかったよ。机の下に落ちてた。」

そう私の左手を指差して、藤ヶ谷は家を出た。


裕太と2人っきりの空間。

こんな、張り詰めた雰囲気の2人じゃなかったのに…

夫婦仲なんて、とっくの昔に冷え切っているのかもしれない。

その時だった。

「…A…っ」

裕太が私を後ろから、きつく抱きしめた。

驚いて、身体が強張る。

こんなことされるなんて、大学生の頃以来。

「、3ヶ月、ずっと会いたかった…。」

切なげに、苦しげに耳元で呟く声が、私の胸をぎゅっと締め付ける。


「ね、こっち来て。」

裕太が宅配便の箱を開ける。

ピンクのレースのついたベビードール…

「似合うと思ったんだ、がらでもないけど…つい買っちゃった。」

裕太のはにかむ笑顔、久しぶりの顔。

堪え切れなくて、私は裕太に抱きついた。


「今夜は、愛し合おっか。」


そっと、電気を消した。

2人の朝→←902号室



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ミムラ(プロフ) - なおちゅけさん» ありがとうございます。W不倫ですか…面白いですね!希望のメンバーいますか? (2019年9月30日 21時) (レス) id: 4eee019b1c (このIDを非表示/違反報告)
なおちゅけ - 面白かったです!いきなりのリクエストごめんなさい。W不倫で書いてくれませんか? (2019年9月1日 22時) (レス) id: d14129f611 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - ボードに送っても大丈夫ですか? (2019年7月17日 0時) (レス) id: 1f79981bd4 (このIDを非表示/違反報告)
ミムラ(プロフ) - ともさん» こんばんは。ありがとうございます!大丈夫ですよ (2019年7月17日 0時) (レス) id: 4eee019b1c (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - こんばんは!いつも楽しみにしてます!リクエスト大丈夫ですか? (2019年7月17日 0時) (レス) id: 1f79981bd4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ミムラ | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年7月15日 23時

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