THIS CRAZY LOVE

予告 ページ16

翌朝、裕太は私を起こさずに準備して出て行った。

昨日の朝食もちゃんと食べてくれたようだ。

洗い場に置いてあるお皿を見て、心がギュっとなる。

裕太は、私を信頼してるんだろうか。

それとも、不安に駆られたから、あんな風に私を優しく抱いたんだろうか。

思考を巡らせても、答えは出ない。

その時、唐突に電話が鳴った。

「…もしもし？」

「もしもし、A？藤ヶ谷だけど。」

彼からの電話なんて初めてで、正直驚いた。

「なあ、今からお前の家行ってもいい？

…裕太、海外出張なんだろ？今日から。」

なんで知ってるの？って、口をついて出てそうになったのを抑えた。

「そう、だけど、」

これを拒めば、藤ヶ谷は私の写真を裕太に送るかも…

そんな怖さが頭をよぎった。

「ん、じゃあ、今から行くから。」

そう言って、一方的に電話を切った。

強引で、でも女の子には優しい。

それが藤ヶ谷だけど、

休日に遊んだりしたことなんて今まで一度もなかった。

もちろん、家に来るなんて…

『立派な不倫関係だね』

そう藤ヶ谷がつぶやいていたのをふと思い出す。


まさか…ね。

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