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8年前、当時18歳だった母さんは街で娼婦として働いていて、やがて私を産んだ。父親が分からない子供だったけど、母さんは「愛しい子」と言って私をとても可愛がってくれた。
けれど、娼館の女主人は「娼婦がガキを作ってどうするんだ!」と言って母を殴った。
それでも母さんは何も言わず、震える手で私を抱きしめていた。それから年が過ぎ、16歳の誕生日を迎えた私に悲劇が訪れる。
母さんは30を過ぎても、私を産んだ時と変わらず若々しく、その美しさを保って娼婦をして生計を立てていた。
「今日はナターシャの誕生日〜♪プレゼントは何が良いかしら〜」
母さんは朝からずっとあの様子だ。毎年、私の誕生日がくるたびにルンルンと鼻歌を歌っている。
「私は16だ!もう子供じゃないんだからお祝いなんて…」
すると、「え〜」とシュンとした顔で言った。
「せっかくケーキやご馳走の献立を考えてたのになぁ…」
その様子を見て可哀想に思えてきた私は、ため息をついた。
「はぁ…分かった、分かった!大好きな母さんがお祝ってくれるなら嬉しいよ」
すると、母さんは「本当に?やった〜!」と満面の笑みで私を抱きしめた。
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作者名:椿屋 紅子 | 作成日時:2020年5月21日 13時