検索窓
今日:9 hit、昨日:32 hit、合計:35,627 hit

87 ページ44

小鉄くんは魚の化け物に


鳩尾を刺された。



急所を刺された!

死ぬ!



君じゃだめなんだ!

どうしてわからない!!



傷口を抑えろ!

早く逃げて!!


僕のところに来るな!!

助けようとするな!!


君にできることはないから!!




小鉄くんは、水牢の外に口をつけ、

中に空気を送り込んだ。


なんでそんなに…

僕に…。






『人のためにすることは、巡り巡って自分のためになる。


そして人は、自分ではない誰かのために

信じられないような力を出せる生き物なんだよ、無一郎。』


 




うん。



知ってる。





霞の呼吸…弐ノ型




八重霞








僕は水牢を破って外に出た。



咳き込んで肺の痛みを感じた。

肺に水がたまってるんだ。



僕は、体中に刺さった針を抜いた。


 そして…


思い出した。




昔のことを思い出せた。

記憶が戻ったんだ。



父さんは杣人で、僕はよく彼を手伝っていたこと。




僕には双子の兄がいたこと。


兄さんがいつも言葉のきつい人だったこと。




そして…死ぬ間際に僕に言ってくれた言葉。



『無一郎の…無は…
“無限”の“無”なんだ。』



本当は優しい人だった。

誰よりも僕のことを考えてくれていた。


Aの兄である平助が、妹を大切そうに見つめている姿が、

とても懐かしく感じたのは、そのせいだ。


そして…。


君への気持ちにも気づいた。








僕は、こんな気持ちになったのは初めてだったから分からなかった。


でも、記憶が戻って、


今までのことも思い出した。


幼い頃、母さんか誰かが話してくれた気がする。




僕のこれが、








『恋』だってこと。



この戦いが終われば、

帰ってから必ず伝えるよ。



なんとしてでも、生きて帰るから。




無事でいて。






僕の大切な人。







〜A視点〜


時透君が里へ行って何日経ったかな。


彼から三通文を貰った。

私も今、三通目を送ったところ。
いや、でもはじめのを合わせたら四通目?

でも、返事が来るってことは、

生きているんだね。良かった。



時透君が死んだら…私は生きていけないなぁ。

生きがいだもの。


でも私も、鬼殺隊と同じような状況だ。



いつ死ぬか分からないから。


過ごせる時間が、どんどん削られていく。




早く帰ってきてよ。




竈門君、甘露寺さん、



…時透君。

89→←86



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (45 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
65人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 時透無一郎 , 恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:照山紅葉 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年11月1日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。