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翌日、再び蝶屋敷へ足を運ぶ。
すると、
竈門君は隊服を着て、市松模様の羽織に腕を通していた。
A「…竈門君!?」
竈門 「Aか!おはよう!」
え!?
いやいや!
A「そうじゃないよ!もう任務に行くの!?
まだ完全に元気じゃないでしょ!?」
竈門 「ああ、実を言うと、一週間前くらいから目覚めていたんだ。
それに、あれからニヶ月も経っているんだし、体の傷は癒えた!」
体力は落ちたままだけど…。と付け加える竈門君。
でも体力落ちてるのに任務って…。
竈門 「あと、今回は任務じゃない。
刀の刃こぼれが酷かったから、
刀鍛冶の里に行って鋼鐵塚さんと言う刀鍛冶に会おうと思って。」
A「あ、そうなんだ。…でも、あれから二ヶ月経ったんだよね?
その間に新しい刀を作っていてくれればよかったのに、なんでまた…。」
すると竈門君は苦笑いを浮かべた。
竈門 「俺もそう思っていたんだけど…これが届いてて…。」
彼は懐から紙を取り出す。
それに書いてあった内容に驚いた。
『お前にやる刀は無い』
あと二つの紙には、
ひたすら『呪う』やら『憎い』やら『許せない』やら殴り書きにしてあった。
怖っ。
竈門 「俺、以前にも刀を折ってしまったことがあって。
その時は包丁を持って追いかけ回されたな…。」
A「…鬼かよ。」
ちょっとその人大丈夫!?
竈門 「でも、日輪刀がないと俺は戦えないから、なんとかしないといけないんだ。
だから行ってくる。」
A「…そうだね。頑張って。」
竈門 「ああ。」
竈門君は、木箱を背負って部屋の扉へ向かった。
竈門 「…A…。」
A「?どうした?」
竈門 「俺が昨日、君に言ったこと、忘れてくれて構わない。」
A「…え。」
そんなの不可能だよ。
A「忘れられるわけないでしょ。」
初めてだったんだもの。
あんなに真剣に気持ちを伝えてくれたんだもの。
とても嬉しかった。
竈門 「…A。」
A「…忘れてほしいの?」
竈門 「…違う。
Aが、忘れたいと望んでいるのならそれで構わないと思った。
俺は正直…覚えていてほしいけど。
もっと覚えていてほしいのは、
辛くなったらいつでも俺のところに来ていい。」
彼は部屋を後にした。
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