【d!】溺れる程に愛したい (ページ3)

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三話ページ3

｢同情して仕方なく弟子に入れるだなんてお前阿呆なんか？無能を弟子に引き入れる魔術師なんかおるわけないやろ｣

『おや、そんな阿呆な魔術師がここにいますよ？』

｢ちょっと待って下さい。そんな簡単に決められてもただでさえ私が住まわせてもらって負担をかけていると言うのに…｣

『私は迷惑だなんて一ミリも思ってないさ、むしろ私がお世話されてる身だよ。少年を引き入れても私にデメリットは生じない』

信じられない、とでも言うようにこちらを見つめる少年にもう一度問う

『さぁ少年。私に今出来ることはこれしかない
決めるのは君だ』

｢……魔力なんて全然ないんやで｣

『構わないさ』

｢何でそんなに俺を受け入れるんや、可笑しいでお前｣

『ふふ、それは褒め言葉かな？』

kn side

なんなんやコイツ。

俺は元から物を浮遊させる程の魔力さえなくて、魔法を使える奴から見ればただのゴミにしか見えない

親からも期待外れ、恥晒しだと罵られ
最後に餓死させるのは前から決めていた事だったのか俺を捨てた後に事故死したと嘘を言い俺は呆気なくこの世界にはもう居ない死人だと決め付けられた

家族とは何だ？簡単に関係を切れる程に脆い関係だったのか。
こんな家系に生まれず別の所に生まれられたらまだ少しは生きられただろうにと淡い期待を抱いたまま死を待った

なのにコイツは、死なせてくれなかった

さらには弟子に迎えると馬鹿な事を言った

阿呆や、コイツ。

｢ッ…お前ホンマに阿呆や｣

＿＿＿

『えっ…ど、どうしようエーミール…俺子供泣かせちゃった』

｢なんなんやお前、簡単に死なせてくれれば良かったんや。親はもう俺は死んだと思ってる、俺よりも有能な子を生むためにとそんな事しか気にしてない
魔力の強い貴族の間に生まれた子供は有能な子供しか認められずに残りはいくら努力しても捨てられるだけなんや！！｣

今まで以上に眉をキツく寄せて綺麗な瞳からポロポロと涙が零れ落ちている

私は、この少年とは比べ物にならない程のほほんとした平凡な生活を送ってきたのでこんな壮絶な体験はした事がない

考えるだけで苦しくなるという事は、実際に幼い頃から大人の世界の厳しさを体験したのは子供からしてみれば相当なストレスとなっただろう