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第228話 ページ31





貴方side



いつもの昼休みとは比較できないくらい外が騒がしいのは、今日が師団披露(バトラパーティ)だからだろう。バラム先生が不在なのもきっとそれが原因だ。

昨日の前夜祭にも参加していないためか、全くそんな実感は湧いていなかったが、こうして楽しげな声を聞いていると去年もこんな感じだったなと思い出すものがあった。



 確か去年もツムル先生と二人だったなぁ…



魔リンゴ飴くれたっけ、なんて頭の中で思い出に浸りつつも、目の前の問いに思考を向ける。


……何をもって悪魔学校(バビルス)を襲撃したのか。


そう訊かれるのは当然のことだった。
元々、高位階(ハイランク)悪魔が多くいるこの学校に単独で襲撃など自滅行為に等しい。更には侵入者という前科のあるボクは既にこの身で実力を知っている。

にも関わらずこんな愚行に走るのは、何か目的があるに違いない。

…そう考えるのが自然だ。


実際、ボクにも目的があって…





『………………………?』





「…?どうした?」





思い出す余地もない深く刻まれていた目的を、言葉にしようとする。例えるならば、自身の小指を曲げることぐらい容易なはずだった。

だが、言葉に出そうとした時には、




" 何故悪魔学校(ここ)を襲撃したのか分からなくなっていた " 。





『………………なんで、』





小指を曲げるくらい簡単だったものが、突として霧を掴むように難しく感じさせられる。





『…………………思い出せない(・・・・・・)、』





思い出そうとすればするほど頭に(もや)がかかり邪魔をする。宛ら底なし沼のようだ。



 ………何も、



誰に何をされ、何故ここを襲ったのか。

心臓破りの後の記憶が……全てなくなっている。



 …………何も、思い出せない





「___…A!」





『…!す、みません……。』





肩を揺さぶられツムル先生の声が耳に入り、何度も呼ばれていたことに気づく。大丈夫か?、と水の入ったコップを差し出す先生に礼を言って一気にそれを飲み干した。
冷水が喉を潤し、頭を冷やさせる。



 …………前にもこんなことがあった



冷えた脳が一つだけ思い出した。感覚だ。

身体が覚えている、不快極まりない嫌な感覚を。



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紫咄(プロフ) - ティアさん» コメントありがとうございます!面白く新鮮な話を書くのが作者の目標なのでとても嬉しいです✨これからも頑張ってまいります! (4月2日 0時) (レス) id: 0a579820f3 (このIDを非表示/違反報告)
ティア(プロフ) - 春休みなのでシリーズ最新まで一気見しました!!すっっっごく面白いし泣いてしまいました………続き楽しみに待ってます!!頑張ってください!!! (4月1日 7時) (レス) @page31 id: 9f0c7fadf2 (このIDを非表示/違反報告)
紫咄(プロフ) - 夕宙さん» ありがとうございます!シリーズ1からは嬉しいです…泣作者の書きたい放題に思案しながら書いているのでとても励みになります!これからも頑張ります! (3月9日 15時) (レス) id: 0a579820f3 (このIDを非表示/違反報告)
夕宙 - シリーズ1から読ませてもらってます。無性くんのキャラというか性格というか、とにかくキャラ設定やストーリー大好きです(語彙崩壊)。続きが気になる……!これからも頑張ってください!応援してます。 (3月9日 13時) (レス) @page21 id: 6731466818 (このIDを非表示/違反報告)
紫咄(プロフ) - 久遠さん» コメントありがとうございます!とても嬉しいお言葉✨作者もエイト先生は大好きです!これからも頑張ります! (3月5日 20時) (レス) id: 0a579820f3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紫咄 | 作成日時:2024年2月11日 21時

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