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第159話 ページ12





バラムside





「どうして早くに来てくれなかったのかな?」





『……次の定期健診の時でいいかなと思いまして』





背もたれのない椅子に座り、バツの悪そうに答える生徒に溜息が漏れる。
吐血したのにも関わらず自分の足でここまで来られた時はさすがに驚いた。が、Aくんなら有り得ない話でもないと納得できてしまう。

念入りに診てはみたものの、吐血の原因は分からなかった。





「前にも言ったようにAくんの身体は前例がないんだ。


身体に異常が出たり、違和感があったりしたら必ず僕に言うこと。

いいね?」





『善処しま……』





絶対(・・)、だよ?」





『………………はい、』





曖昧な返事をするAくんに念を押して それから…、と話を変える。
ここからが本題のようなものだ。





「残念ながらAくんが血を吐いてしまった理由は分からなかったけど……


僕はキミの身体が変化(・・)を始めていると考えているんだ。」





変化(・・)………?』





生徒の疑問に静かに肯定する。


…身体の変化。

まず、Aくんの身体から怪我などのきっかけにより血液が失われる。

そうすると悪魔の姿である彼の身体は、悪魔(・・)の血液を生成し、怪我の回復を促す。





『……つまり、1:1の割合だった人間と悪魔の血液量が変わってきているということですか?』





「そうだね、


Aくんが人間の姿である時は、悪魔の姿である時よりずっと少ないから…

自然と、作られる人間の血液量も少なくなるんだと思う」





人間と悪魔の血は、おそらく今まで全く同じ大きさの力で反発、反応し合っていた。

しかし、失血により悪魔の血ばかりが作られて人間の血より多くなってしまうと、1:1だった割合が崩れる。

結果、悪魔の血の反発力が増し人間の血が負けて、今回のような吐血を引き起こしてしまう。


……と、いうのが僕の考察だ。





『それは………一番有力かもしれませんね、』





「……じゃあ、
血を失う機会はそれほどあったということかな?」





僕の疑問にAくんは小さく頷いた。
アミィ・キリヲくんに 監 禁 されていた時期もある彼だ。



 きっとAくんは、

 僕が思っている以上に怪我の絶えない生活をしてきたんだろうな……



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紫咄(プロフ) - あやさん» コメントありがとうございます!楽しみにしていただけてとても嬉しいです✨満足できるものが書けるようにこれからも頑張ってまいります! (2月7日 14時) (レス) id: 0a579820f3 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - 更新お疲れ様です。こういった場でコメントするのは初めてなので不快な気持ちにさせる事があったらすみません🙇🏼 この小説の更新をいつも楽しみにしています。この作品に出会えてよかったです。これからも無理のないペースで更新頑張ってください😌 (2月7日 2時) (レス) id: ae6fd6e907 (このIDを非表示/違反報告)
紫咄(プロフ) - 珊瑚さん» ありがとうございます!嬉しいお言葉をいただくととても励みになります💪これからも自分のペースで頑張ります! (2月3日 22時) (レス) id: 0a579820f3 (このIDを非表示/違反報告)
珊瑚(プロフ) - 今回も更新ありがとうございます😭!続きが気になります💕無理せず更新頑張ってください! (2月3日 21時) (レス) @page46 id: 0e327a755d (このIDを非表示/違反報告)
紫咄(プロフ) - くろあんさん» コメントありがとうございます!すごく嬉しいです…泣これからも執筆頑張ります! (1月28日 1時) (レス) id: 0a579820f3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紫咄 | 作成日時:2023年12月13日 18時

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