第16話 ページ17
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貴方side
イルマ様が持ってきた書物に、魔具に詳しい団長、アズくんの質のいい炎により、月が登る頃に花火は完成した。
「やっぱり綺麗だなあ……!」
夜空に舞い散る花を見ながら、イルマ様が目を輝かす。
そんな彼の横顔に、ボクは思わず笑みが零れた。
想定外の人物の登場にすぐにでも帰りたい気持ちだったが、今はこの
『やりましたね、イルマ様』
イルマ様はうん!、と年相応の笑顔をボクに振りまく。こちらの心まで晴れてしまいそうだ。
「わ〜、キレイ。こんな炎の使い方は初めて見たなあ、」
声がしたのは、ボクを含め五人が自らの手で作り上げた花火に夢中になっている時だった。
この声は……
『…イフリート、先生』
「びっくりした思たら、なんや先生やったんやね…」
何でもないように笑っているが、眼鏡の彼は驚いた拍子に吐血したらしい。ゴフッ、という鈍い音とともに口元から鮮血が流れていた。
「さすがSD、でも教師である僕にその姿勢は傷つくなあ」
『一度染み付くと、中々離れないもので』
どうやら本能的なものがイフリート先生を敵と分類していたらしく、気づけばボクはイルマ様を自身の後ろへとやり、臨戦態勢に入っていた。
「まぁ、一度火球をぶつけられれば無理もないか」
少し、頭にくるものがあったがここへ来た要件を簡潔に問う。すると返ってきたのは意外な返事だった。
「Aくんのお迎え」
『………………………?
ええと…イルマ様のお迎えではなく?』
「キミのお迎えだよ、
イルマくん達はお泊まりだからね。」
『それならボクも……』
SDたる者、傍につく必要がある。特にあの眼鏡がいる今夜は危険だ。
絶対に守護しなくてはならない。
……………ならない、のだが…
「申請書、出してないでしょ?
提出してないと泊まり作業はできないよ」
……………………、
『し、しかし、ボクはイルマ様のSDで……
………………ちょッ、降ろしてください!』
話している途中にも関わらず、断りなく片手でボクを肩に担ぐイフリート先生。余裕そうなのがまた少し頭にくる。
「だってAくん、居残る腹積もりだろう?
僕も暇じゃないんだ、夕食にも遅れるしね」
じたばたと暴れるものの、全くの徒労に終わった。
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紫咄(プロフ) - もこさん» コメントありがとうございます!全員推し分かります!皆が皆良いキャラでいくら書いても書き足りないくらいです笑これからも更新頑張ります! (6月7日 19時) (レス) id: a9de1191b0 (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - 初コメ失礼します!私愛され大好物なので嬉しいです!魔入りました入間くんのキャラ全員推しなので嬉しいです!更新頑張ってください! (6月7日 19時) (レス) @page5 id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
紫咄(プロフ) - ガイさん» ありがとうございます!頑張って執筆しますのでまた読みに来てくれると嬉しいです! (2023年4月30日 14時) (レス) id: a9de1191b0 (このIDを非表示/違反報告)
ガイ - 面白かった。←いつもは、こんなキャラじゃありません!!(*/□\*)かぁ〜// (2023年4月30日 14時) (レス) id: 5793000cce (このIDを非表示/違反報告)
紫咄(プロフ) - 翡翠さん» コメントありがとうございます!とても励みになります!これからも頑張って執筆していきますので読んでいただけると嬉しいです。 (2023年4月7日 23時) (レス) id: a9de1191b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫咄 | 作成日時:2023年1月1日 23時