暴言二十三 ページ30
『中也』
「………」
中也は結構あっさり見つかった。
彼奴が拗ねたときに行くのは大抵家の近くのこぢんまりとした公園で、今回も違わずそこに居た。
『……中也』
「…………」
此奴、無視してそっぽ向いたまま微動だにしないんだけどほんとに生きてる?変わり身の術使ってない?
『おいコラ無視すんな』
「……………」
『………中也』
「帰れよ」
はぁ?と声が漏れる。ようやく口開いたと思えばそれかよこの野郎。話す気は無いってか。
頭にきたので隣にどかっと座ってやった。
「帰れ『帰んない』……っち」
あからさまに眉根を寄せる中也の顔を見つめる。
(……これは本気で怒ってるやつだなぁ)
『……いや、怒ってるってよりか…』
「あ"?」
『…ねえ、アンタ普段は私が誰と仲良くしててもそんなに気にしないじゃん
なんで今回に限ってそんなに苛ついてンの?』
ぴくり、中也の指が小さく動いた。
みるみる中也の表情が弱々しいものに変わっていく。まるで親とはぐれた幼子のようなそれは、普段の中也とはかけ離れていた。
「………理由が、あっから」
『……理由?』
小さく漏れたその声は予想外な言葉を紡いで。
正直な感想を云おう。何云ってンだ此奴。
「俺、こないだ……色任務受けたろ」
『あー、受けてたね』
帰ってきたときいつもと違う匂いしたから『香水変えた?』って私が聞いたやつな。今の今まで忘れてたけど。
「……だからよ、いい加減愛想尽かして他の野郎の処行ったんじゃねェかって」
ふいっと目線を外して云う中也。その声が尻すぼみに小さくなっていく。
あー成る程、完全に理解した(わかってない)。
ごめん嘘ですちゃんと分かった。
『……ったく莫迦が』
ぐいっと襟を引っ張って、口をくっつけてやった。
所謂キスだ。ぱっとくっつけて、すぐに離す。
「……A、」
『お前莫迦だろ』
「は?」
ぱちくりと目をまん丸にする中也が酷く滑稽で、小さく笑いがこぼれた。
『色任務なンて今更でしょ
そんなので一々愛想尽かしてたら、お前の彼女とか務まらないっての』
「……」
『私は中也が好きだから付き合ってンの
お前以外に気が浮つく程軽くないし、隠れて二股できるような器用さもない』
「……確かに」
『おいコラ』
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ライム - もう更新はしないんですか?すごく面白いのでできれば完結まで進めてほしいのですが、 (2023年3月5日 5時) (レス) @page32 id: e7904a37c4 (このIDを非表示/違反報告)
眠夢_(プロフ) - なるほどぉ… 神ですか?あっ、ほんほん。だと思いましたよっ!これからも応援してますので、頑張ってくださいっ!!あれ、誰と話してるんだろuu((( (2021年3月21日 3時) (レス) id: 7e61cd56ff (このIDを非表示/違反報告)
akane_朱音 - ごちうさネタで戸惑う敦君可愛い (2019年10月17日 12時) (レス) id: 54998763e1 (このIDを非表示/違反報告)
鏡の国のアリス - あと何分…?!お、終わり?!あ、あの、無理せず頑張って生きてください!ずっと待ってます…! (2019年8月30日 14時) (レス) id: 19bb89c399 (このIDを非表示/違反報告)
福永陽太(プロフ) - 面白いと思います!・・・ご注文はうさぎですか?知ってるんですね (2018年9月23日 9時) (レス) id: 044a8ccaf1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蟻 | 作成日時:2017年10月10日 21時