獣人な歌い手さん【男主】

八匹 ページ9

話してたら料理ができて机に置かれた。ほかほかと湯気を立てるステーキを前にじゅるりと涎が出そうになる。

ウォル「目、ギラギラしてるし牙出てて食べられるかと思ったよ。」
貴『ウォル君は食べないよw、最近肉食べてなかったから嬉しくて。』

そんなに牙出てたかな？気をつけないと怖がられるなあ。たまに子供と遊んでて笑った時に牙を怖がられる事があってショックなんだよ。

肉を切り分けて口に含むと肉汁がじゅわと染み出して幸せに頬が緩む。

ウォル「幸せ〜って顔してるよwこっちも食べる？」

ウォル君の掴んでるサンドウィッチをあー、と前に出されたから魚のように齧り付く。

貴『めっちゃ美味しい！』

お礼にとステーキを一切れ刺して前に差し出すとウォル君がパクリと齧り付く。

ウォル「うん、美味しいね」

ニコニコと二人、満悦の笑みで料理を食べていると周りの人にクスリと笑われたような気がして少し顔が赤くなる。少し俯いて食べるとウォル君が下から覗き込んで見てきた。

ウォル「どうしたの？」
貴『なんでもないっよ！』

ウォル君の整った顔が真下に見えて少し動揺気味に返してしまう。それをまた不審に思ったのか本当に？と聞いてくるウォル君を強引に引いて食べる速度を上げる。

俺はいつもより早めに食べ終えて店を出た。

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