【企画小説】かくれおに

第７話【速水 雫】 ページ7

誰かの話し声が聞こえる。

あれ、なんで私はこんな所に居るんでしたっけ。

頭の中の箪笥をひっくり返しながら考えていると、ぽろりと言葉が落ちてきた。

【視聴者参加型番組】

……当選したのをすっかり忘れていた。

念のため、スーツのポケットを探る。…もしもの時のために入れておいたガムも、未だに使いこなせていないスマートフォンも無くなっている。

勘弁して下さいよ、あのスマートフォン、私の年収じゃギリギリだったのに。

一人溜め息をつくと、腕に虫が止まった。

パンッ!!と思いっきり腕を叩くと、周りにいた女の子達が一斉に此方を向いてきた。ので、社交辞令として立ち上がり、

「…おはようございます。そちらにいらっしゃるお嬢様方は…当選者でいらっしゃいますか?」

辺りを見回す。すると、女の子の中に見知った人物を見つけた。

「……瑞穂さん?」

「……!速水さん!速水さんも当選したんですね」

「…お久しぶりです。……そちらのお嬢様は、ご友人の方で?」

瑞穂さんに問う。
彼女曰く、この方々は今知り合ったばかりで、同じく当選者だと言う。

「えぇと……
章さん、アスカさん、桜子さん、沙羅さん、瑞穂さん、怜奈さん…でよろしいですか?」

こくり、と桜子さんが頷く。

「これから、お互い頑張って行きましょうね。」

背後で、ベッドが軋む音がした。

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