【wrwrd】スキル遣いの学園日記 vol.5 (ページ35)

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勿論学校に行かずにアビスで生計を立てるのも考えたが、どうしても...どうしても心の隅から消えない約束があった

“外の人にも認められる術者に”

約束の先にはもう誰も居なくても、ただ足を止めたくは無かった。王都ではきっとアビスへの偏見や忌避もあるだろうがその視線の槍すらも糧に独りで頑張ろうと決めたのに

｢A！｣

あぁ...彼が呼んでいる気がする。最初は警戒心バリバリだった癖にいつの間にか踏み込んできた“友達”達と先輩方
合宿の最後の総力戦で｢大きな声で呼んで｣と言われたのに呼べなくてゴメンね。こんなにも助けて貰ったのに最後の猜疑心がどうしても消えてくれないんだ
また伸ばした手が払われる日が来ると思うと心が軋んで踏み出せない弱虫な私だけど、

｢君達が一緒に居てくれるならなんだって出来る気がするから｣

いつの間にか胸元で輝く青い花を象るネックレスと“W”のチャームを握りしめる。何時までもこんな弱気でいられない！

｢まずはあの騎士団の人をバッサリと断ろう｣

私の未来に貴方達は必要ないと、出来る事なら

彼等と...

溢れ出す光に包まれAは夢から覚める
ゆっくりと瞼を開けると目尻から何かが零れ頬を走った気がして重だるい腕を動かし頬を拭うと水滴が付いていた

｢...何時までも引きづっていられないね｣

その水滴を握り潰し頬を雑に拭ってベッドから降りるとゆっくりと下に降りれば台所でアップルピーチをすりおろしていた母さんが顔を上げ駆け寄ってくる。頬や額の熱を測りながらホッと息をつく母さんにお礼を言ってすりおろしたソレを貰いながら休んでいると飛び込んでくる父さん

｢心配したんだぞッ！！｣
｢ありがとう父さん。もう大丈夫｣
｢今日はAの好きなスカイベリーも採ってきたからな！｣

そう言って優しく撫でてくれる父さんの大きな掌に擦り寄りながらその日は穏やかに過ごした。次の日、父さんは少し渋っていたが説得の上登校を認めてくれたのでブーツを履いて外に出る

｢...行ってきます！！｣
｢｢行ってらっしゃい｣｣

青い空に駆け上がり逸る気持ちをそのまま魔力に乗せて学園まで走る。少し早めに着いた筈なのに校門の所に何人かの人影が見え、彼等も私の姿を確認すると大きく手を振り

｢A！！｣
｢おはようさん！！｣
｢顔色も良さそうやなぁ｣
｢体調第一やで！｣
｢話したい事いっぱいあるで！行こ！！｣

彼らに手を引かれ学舎へと走っていたらトントン先輩に少し怒られちゃったw