【wrwrd】スキル遣いの学園日記 vol.5 (ページ30)

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【回想】黒い嬰児ページ30

物心ついた時から暖かい記憶など1つも無かった
ぼんやりと最古の記憶を辿れば窓も無い黴臭い部屋に居た事は思い出せる。光を見るのは何日かに１回もう顔も潰れて見えない女が酷く耳障りな声で何かを喋りながら腐臭の漂うモノを投げつけて来る時に入ってくる光

俺に取って“光”とはそういうモノだった

自分さえ認識出来ない程の純黒の中で己の呼吸音を数えながらただ生命活動を続けていた。細く痩せ細り、髪もざんばらに伸び放題のその姿は人間には見えなかったのかもしれない
いや、もとより俺は人間では無かったのかもしれない

稀に見る程の魔力量を宿し、人々を混沌と騒乱へと呼び込む闇の魔力を宿した俺を恐れた奴等は冥い地下室へと幽閉した
何年、居たのだろうか...、今トントン達と同学年でいるが誰しも己の生誕を忌み嫌っていたので本当の所は違うのかもしれない
そんなただ無駄な酸素を浪費していたある日、

「アンタが産まれたからッ！！」

そう言って銀の光を放つ何かを振り上げ女は喚きながらソレを振り下ろそうとした。情緒も何も育って居ない俺はぼんやりとソレを見ていた筈なのに、

〇きたい...

アレは正しく本能だった。生き物であるが故に備え付けられた生存を渇望する慟哭だった
咄嗟に翳した右手から溢れ出した黒い魔力は瞬く間に女を、いや...己を取り巻く全てを呑み込んでいった
劈くような悲鳴、無様な命乞い、咆哮する様な怒号が魔力を通して聴こえてくる。その時、

「くは、くはハハwハハッ！！」

感じたのは喜びと愉しさ
まるで生まれたての子鹿の様な動きで立ち上がり魔力で脚部を増強しながらハジメテ外に出た
それはそれは...素晴らしい光景だった

そんな狂乱の夜から明け、ハジメテ太陽を見た
暖かくて、眩しくて、ほんの少しだけ疎ましいソレを見上げながら未知の世界を歩き出した
ただ壊す事しか知らないグルッペンが最初に見つけた玩具()は変な格好をした集団が雁字搦めにされた子供を籠に入れて何処かに向かっている。愉しそうだからついて行こう

そうして、その後唯一無二の右腕と邂逅するのであった

あの時はよく分からなかったが召喚された堕天使を見上げ目を輝かせているうちに子供の断末魔の様な叫びが響き下に視線を向ければ剥き出しの背中に趣味の悪い刻印が刻まれ周囲の人間が湧きたっている。う～ん、

今、〇したらきっと愉しい

そう思ったら吉日。子供以外を全て消した
天国から地獄へのフリーフォールは愉しかっただろうか？