【wrwrd】スキル遣いの学園日記 vol.5 (ページ28)

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縋る掌ページ28

Aが眠りから覚めたのは昼休憩の時間だった
少しダルさと寒気の残る身体を起こしカーテンに手をかけると

「！Aちゃん大丈夫か？」
「はい...ベッド、すいません」
「ん～...疲れとストレスから体調崩したんやね。熱も出てるみたいやし」
「でもこれ以上、」

ふらりと身体を揺らしながら立ち上がる彼女を咄嗟に支え額に手を当てれば常温とは考えられない熱量を掌が検知し即座にドクターストップをかけるが小さく抵抗する彼女
どうやら単位がどうこうより授業を聞けない方が嫌なのかもう大丈夫ですから、と退室しようとするAにポリポリと頬を搔くと

「チィーッス！」
「！...ゾム君」
「A大丈夫か？顔真っ赤やけど、」
「...」

駆け寄って来たゾムに両手で頬を包まれながら心配されるとバツが悪そうに視線を逸らしたA。その姿にゾムはへにょりと眉を下げると「無理せんといて...」と懇願する
長い前髪の奥に見える少し潤んだ若葉色に良心が傷んだAは暫く自分の心と葛藤し、結果抵抗を止めて今日は休む事を決めた

「此処で休んでてもいいけど親御さんに連絡する？」
「あ、はい...」
「A震えてるで、寒いんか？」

そう言いながらAの身体を引き寄せ腕の中に収めたゾムに最初は驚き身を固めたがじんわりと伝わる温もりに思考が溶け始め無意識にゾムに縋る様に背中に手を回すと身体の力を抜いた

「！...フヒヒw大丈夫やで、僕が居るでな」
「...うん、」
「ちょっと連絡してくるからゾムAちゃんお願いね」

と口に出しながら副音声で「手ぇ出したら掘るから」と伝え退室するペ神を見送ると素早くAを抱き上げ先程のベッドに移動したゾムは靴を脱いでベッドに乗るとされるがままの彼女の靴も脱がして下に落とし彼女を包み込む様に横になった
程なくして腕の中から小さな寝息が聞こえ視線を落とすと安心しきった顔で己の胸元に頬を押し当て眠る愛しい姿に頬の緩みを抑えきれずにゆるゆるな顔で彼女の頭部に頬を擦り寄せながらゾムも幸せに揺蕩いながら瞼をおろした

この後、他のメンバーが到着し1悶着、ペ神が戻って来て2悶着、最後に父親が救護室のドアを歪めながら到着して修羅場となった

「…(嫁入り前の娘になにしてくれとんじゃこの獣が)」
「…(頑固オヤジは嫌われるでお義父さん)」
「…(誰がお義父さんじゃボケッいてこますぞゴラッ)」
「…(仲良く(意味深)しようや、今後の為に)」

「いや声出せ、声」

知らぬは眠る彼女だけw