赤き支配者 ページ27
夢も見ない程に深く眠ったAの様子を見に来たペ神は優しく髪を撫ぜてからカーテンを閉めた。その後、備品の整理や発注の仕事をしていると少し粗めのノックの音が部屋に響き「まだ授業中なんに、誰や？」と立ち上がった彼がドアを開けると、
「失礼。個々にウォーカーが居るはずなのだが」
「…プライバシーって知っとるか？誰とも知らん奴に大事な生徒の事教える訳無いやろ」
「御託は結構。担当教師より個々にいると聞いて来ている、ウォーカーを出して頂きたい」
「此処が何処か分かっとるんか。勧誘も結構やけどTPOを学んでからして頂きたいもんや」
バチッ…と2人の間で火花が散った
雑面の下でキレ散らかしているペ神の魔力が僅かに漏れだし白衣や髪を舞いあげ始めると腰に携えた剣に手をかけ臨戦態勢を取ろうとするバルクにその場は緊迫した空気が満ちる
その時、
「この学園内での戦闘は禁じられております」
「！？」
「…校長、」
「ペ神先生が珍しいですねw」
2人が踏み出す直前にいつの間に居たのか赤い髪を靡かせ佇む1人の男性。その姿に両者が戦闘態勢を解くと意地悪くペ神に笑う男はこの学園の第10代目校長トモ・ヴィフィーセ、通称「赤髪のとも」の呼び名を持つ学園の支配者である
「さて、スカウトは認めてますが大事な我が生徒に危害を加えるおつもりなら此方も考えがありますが…」
「危害などとんでもない。栄誉ある我が騎士団の素晴らしさを理解して頂くために教育筆頭として尽力を尽くしているのです」
「自己中もここまで来ると滑稽やな」
あくまで自分の行動は正しいと言い張るバルクにペ神が小さく吐き捨てると地獄耳が拾い上げたのか鋭い視線を突き刺してくるバルク。テンペスト級に比べたら可愛いその威嚇に嗤うペ神に再び剣に手をかけるが
「しんぺい神先生」
「はぁい」
「、兎に角今日の所はお引取りを。これ以上は私も手を出しかねないので」
ズンッ…とその場の空気が重みを増す
緩やかに微笑みを浮かべているトモだが薄らと開いたその瞳には明確な敵意を宿しバルクを睥睨していた。その圧力に無意識に足を引いた男は捨て台詞と共に足早にその場を去って行った
男の姿が見えなくなると緩やかに圧力は解けその場には窓から入るそよ風が2人の髪を泳がせる
「トモ君かっこいい〜」
「茶化さないでくれよ。全く頭の硬い連中の相手はコレだから嫌なんだ」
それじゃ、と軽く手を振り景色に溶けて行く校長は瞬きの間にその場から去り、ペ神も仕事の続きを始めた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 61人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：零
| 作成日時：2022年7月22日 22時
