ご自宅訪問 ページ3
ポカンと見上げるAの手を引き正面の門から入ると敷地内に広がる大きな畑が目に入った
「立派な畑」
「らんちゃんの自慢の畑やで」
「荒らした日にゃ復讐鬼になるけどなw」
遠目で見ても真っ赤に熟れたトマトや艶のあるナスが見えてひとらん先輩凄いなぁ...なんて思っていると、
「お、いらっしゃい」
「！ウツ君おはよう」
「その服可愛ええなぁ、よぉ似合っとるで」
「俺も思た！夏らしくて可愛ええよ」
「制服以外でスカート初めて見たから新鮮やな」
「ッ/////あ、ありがとう、ございます、/////」
Aが今着ているのはネイビーのワンピースに白のカーディガン。実は昨日の夜まではオーバーサイズのTシャツにハイウエストのジーパンでいいかな、と思って用意していたが突如部屋に襲来した母さんに渡されたこの服を着ていく事になったのだ
あまりこういうの着ないから着慣れないし不安だったAが小さく安堵の息を零すといつの間にか傍に来ていたウツ君が目を細めながら
「良い“色”やな」
「？」
「(察し)それにしても大先生なんで此処に居るん？」
「お前サボっとるんやないやろな」
「ちゃいますやん。休憩やって、休憩」
責める様な口調で言葉を刺す2人に肩を軽く竦めながら躱すウツは「僕めっちゃ進んだんやで？」とぶりっ子ポーズをしながら返せば間髪入れずに返される冷たい言葉
Aは彼等に会ってから度々行われるやり取りに流石にもう慣れたと苦笑いしながら待っていると
「！A着いとったんか」
「あ、コネシマ君お邪魔してます」
「部屋の準備も出来とるしグルッペンも待っとるで」
「え！？急がなくちゃッ」
慌てるAを見てクツクツと小さく笑い「案内するで」と歩き出した彼を追いかけるがウツ君達は良いのだろうか？と後ろを振り返ると「後でな」と言って歩き出してしまったので手荷物を持って追いかける事に
少し先で待っていてくれた彼の視線が少し下を見ている気がしてその先を追えばどうやら手荷物が気になるようだ
「これ母さんと昨日作ったお菓子、上手く出来たと思うんだけど」
「...グルッペン甘いもん好きやし喜ぶと思うで」
荷物を見ながら少しソワソワとする彼に説明したが挙動不審のまま再び歩き出したコネシマ君に首を傾げてから歩き出した。その時コネシマの脳内では、
「(荷物持ってやった方が良かったんやろか？)」
なんてグルグルと回っており、最終的に手も口も出せずに断念していたのであった
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作者名：零
| 作成日時：2022年7月22日 22時
