スカウトは困ります ページ17
次の日、身支度を整えていたAは最後に昨日貰ったネックレスを付けると満足気に私室を出た。A達が通う学園は常識を逸脱していなければ装飾、制服の改造などは自由とされている為自分のスタイルに合わせて作り替えることも認められている
Aも少し考えたが流石にまだ二学期だし、これからの進路等で考えようかな？と思い留まり通常の制服を纏って学校へと走り出した
いつも通りの時間に到着し教室で1時間目の準備をしていると
「今、よろしいかしら？」
「え？うん」
机の前に仁王立ちする彼女はリラ・パラディン。代々王国騎士団の騎士長に名を連ねる貴族の第三子にあたる令嬢
たしか彼女の兄にあたるジーク・パラディンは卒業後に騎士団に入団し18の時から防衛戦に参加している猛者だとか
にしても私になんの用だろうか？
「何かありました？」
「貴女進路は？」
「え？まだハッキリとは…」
「なら私の従者になる気はありませんか？」
……はい？
思いがけない言葉に固まるAに構わずどんどん話を進めていくリラ嬢の暴走に口をパクパクさせながらアタフタとしていると後ろのドアから入って来たのはゾム君
私と目の前の彼女を見比べてから状況を察したのか早足で近寄り腕を引いて距離を取らせると
「ホンマ執拗いわ」
「貴方も一緒でも良いのよ？」
「なんで弱い奴の下に付かんとアカンねん。お断りや」
「な…ッ」
にべもなしに返すゾム君の言葉にカッとなり眉を跳ね上げたリラ嬢が叫ぶ前に先生が教室に入って来たので不完全燃焼で此方を睨みつけながら自分の席に戻っていく彼女に内心「めんど…」とため息をつきながらゾム君にお礼を言って席に座り直した
SHRが終わり1時間目の術式構成の授業と2時間目の神話読解を何事もなく終わる。昼休憩を挟んで実技の授業となっているのでご飯を食べる為に席を立った
その背中を鋭い視線で見られているのに気づかずに
「…」
「ゾム君どうしたの？」
「いや。早う行こ、僕腹減った」
勿論ゾムは気づいていたが優先順位はAと空腹が断然上、というかまず対抗馬にもならないので放置して彼女の手を引いて他のクラスの奴らを迎えに行った
1年組で弁当を食べていると
「そう言えばAちゃん『サポ検』取るん？」
「うん。一応初級から申し込みするつもり」
「『サポ検』？」
サポ検。正式には『サポート後衛育成検定』
後衛での活躍を目指す人が取得する検定の事だ
「ウツ君も？」
「まぁ持っといた方が後々便利やろ？」
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作者名：零
| 作成日時：2022年7月22日 22時
