時の針に蔦う ページ15
問題なく提出出来たので帰るかぁ…と立ち上がるAの手を掴んだのはゾム
「あんな、グルッペンが渡したいモンあるから集合やて」
「！そっか、じゃあ行こうか」
そう言って歩き出した2人は他のクラスで友人を拾い久しぶりの庭園へと向かった。そういえ夏休みの間、花の手入れはどうしたんだろう？とぼんやり考えているうちに到着したそこは変わらず綺麗な花を満開に咲かせA達を迎え入れた
「はえ〜」
「ふふw不思議やろ？」
「ウツ君は知ってるの？」
「原理とか詳しくは知らんけど原因なら」
Aの様子に脳内の疑問を察したウツが覗き込みながら聞いてくるので逆に聞き返せばつい、と指を庭園の端を指し「アレやで」と言うので目を凝らすと花壇の一番端にソレは見えた
「え、時巻草？」
「よお知っとるな。とあるツテから貰った時巻草は群生地の時間を歪める事が出来るから終業式の日に植えたんよ」
「、時巻草って確か絶滅危惧種…」
「まぁ…ね？」
恐る恐る尋ねるAに立てた人差し指を唇に当てて誤魔化す彼に何も言えなくなって視線を逸らした。その様子にクツクツと喉で笑ったウツは話を断ち切る様にAの手を引き律儀に待っていた同級生達に合流して建物へと入ると
「待っていたゾ」
「ちゃんと課題出してきたか？」
「エミさんが紅茶淹れてくれたから皆も座りや」
「お菓子もあるよ」
「さあどうぞ」
ひと足先に到着していた先輩達が会議室で優雅にお茶会をしていたのでそこに混ぜて貰うと差し出された紅茶。ふわりと微笑む先輩にお礼を言ってから頂く、美味
皆で紅茶とお菓子に舌鼓を打っていると1度席を離れたトントン先輩が何かを持って戻ってきた
「ほいグルさん」
「すまないな」
「例のブツやで〜」
「マンちゃん言い方、」
ひとらん先輩の言葉に「めぅ☆」と誤魔化したオスマン先輩。そんな彼らのやり取りを見ながら視線は皆グルッペン先輩の手元にある箱から離れない
集まる視線に愉しそうに笑いながら箱の蓋の留め具を外した彼はゆっくりと蓋を持ち上げた。そこには、
「ッ…わあ！！」
「すっげ、」
「流石はグルちゃんや」
箱に並ぶ11の魔装具。どれも特徴的なデザインをしており個性的なそれらに目移りしているとグルッペン先輩の指が1つ…燃えるような紅の魔石が付いたソレらを取り出し
「トントン」
「、頂戴します」
手渡されたのはシルバーの赤い魔石で結晶と片翼の翼が描かれた2つのブラスカフス。その何方にも『W』の文字が刻まれている
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作者名：零
| 作成日時：2022年7月22日 22時
