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ヤスダの言葉を借りると「呪いの作業」をしばらく続けていると、2本のグラスとお酒の入った瓶を手にしたヤスダが奥から戻ってきた
「おまたせ〜」
「ありがとうだけど、あっち戻らなくて大丈夫?」
向こうの女の子たちの中では、ヤスダに用を終えたらしい大倉さんが1人で奮闘しているようだ
「大丈夫大丈夫、今こっち誰も見てへんて」
「そういう問題?!…しかも結構見てるけど」
そりゃ、目の前にいた憧れのバーテンダーが見知らぬ女のカクテル、端っこで作ってたら誰でも気になる。
でも私も、あんなに囲まれていた人が今目の前で私のためだけにカクテル作ってる状況は無駄に精神がすり減るんだ。
そんな私の気持ちも女の子たちの気持ちも全く気にせず、鼻歌を歌いながら慣れた手つきでミキシンググラスとスプーンバーを手に取りお酒を入れてかき混ぜ始める
氷の動きを追うようにゆっくりゆっくりとスプーンバーを動かしている手つきすらも色っぽく感じてしまい心臓が音を立てるから少し焦る
こういうのを見るとバーテンダーが必要以上にモテる理由は分かる気がする
この雰囲気の中で見ると、倍以上に輝いて見えるし事あるごとに勘違いしてしまう
でも、私は絶対に騙されないって誓ってやる。
この胸の高鳴りの正体に気付いたとしても絶対に隠し通してやる。
そんな事を勝手に思いながら彼の手つきを眺める
「やっぱり上手いんだね」
「ちょっとそんな真剣に見んといてや、緊張するわぁ」
緊張など微塵も感じられない余裕の顔でグラスに視線を落としたまま少し笑う
どうやら全て混ぜ終わったらしいグラスの中のお酒はそのままカクテルグラスへと注ぎ込まれた
高級そうなカクテルグラスは透明感のある琥珀色がキラリと輝き、最後にポンッと入れてくれたカクーノチェリーがさらに深紅の輝きを際立たせる
「はい、おまたせ」
「わあ…綺麗!」
「マンハッタンっていうお酒やねんけど、カクテルの女王って言われてんねん。ちょっとキツイかもしれんから薄めにしといた」
「ありがとね」
早速一口飲んでみると見た目の濃厚さから想像したよりもスイーティーな甘みとほんのりハーブの香りを感じる
「美味しい…!めちゃくちゃ美味しい!」
「ほんま〜?良かった!」
クシャっと笑ったヤスダの顔を見ていると、彼がようやく本当の笑顔を見せた気がして少し嬉しかった
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わい - はじめまして(*^^*)楽しく読ませてもらいました!続きが気になります!更新頑張ってください!楽しみにしてます! (2017年7月10日 1時) (レス) id: 397f5c791b (このIDを非表示/違反報告)
寧々(プロフ) - とっぽっぷさん» コメントありがとうございます!そんなことを言ってもらえて本当に本当に嬉しいです!これからも頑張りますね(^^) (2017年2月25日 22時) (レス) id: 232e24a4a7 (このIDを非表示/違反報告)
とっぽっぷ - かっこいいヤスくんにどんどん飲み込まれてくのが悔しいけどドキドキ!みたいな!させてもらってます(〃п〃) 更新ふぁいとです! (2017年2月24日 8時) (レス) id: 8670bf754b (このIDを非表示/違反報告)
寧々(プロフ) - りんごさん» コメントありがとうございます!楽しみにして下さっている様でとても嬉しいです!!これからも頑張りますね(^^) (2017年2月20日 22時) (レス) id: 232e24a4a7 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - とっても面白いです!バーテンダー、ヤスダくんかっこよすぎて毎日ときめいています 笑。これからも更新楽しみにしています!頑張って下さい! (2017年2月19日 18時) (レス) id: 005b2bfdb0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:寧々 | 作成日時:2017年2月8日 23時