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彼が半分入れていた体を車内から出し、ドアが閉まった。
タクシーは動き出し、後ろを振り向くといかにも店の店員っぽく、頭を軽く下げて私を見送る姿が目に入った。
その姿を見て、何故か分からないけれど胸が締め付けられて切なくなった。
私は1人の客でしかないという当たり前の事実に今さら気付き、納得しながらも少し落ち込む。
2回しか会っていないのに、私はヤスダの何になろうとしてる？
恋人と言われれば違う気がするし、友達というのも何だか寂しい。
久々に感じる甘くてほろ苦い気持ちの正体をグルグル考えていると、車内に流れる夜中のラジオ放送が恐ろしいほどの睡魔を運んできた。
いつの間にか寝ていたらしく、運転手さんの｢お客様！｣という声でようやく目を覚ます。
｢お客さま！到着です｣
｢………有難うございます…いくらですか？｣
｢お代の方は先程の男性から頂いております｣
｢……え？今なんて…｣
｢お代は男性から…あ、あと伝言が｣
｢…伝言？｣
｢お礼はいらないから来週も来て、と｣
何のことだか分からないというような運転手さんが首を傾げて発した言葉で、眠気でぼーっとしていた頭がどんどん冴えていく感覚が手に取るように分かる。
とりあえずタクシー代は払ってくれていて、その代わり来週来いよってこと？
でも、のぼせ上がった単純な私は申し訳ないという気持ちよりも来週もヤスダに会える口実が出来たということが嬉しくて緩みかけた口元を慌てて閉じる。
｢分かりました、有難うざいます｣
｢いえいえ、ではお休みなさい｣
お釣りを受け取り、心持ち少し軽くなった足取りで自分のマンションへと戻る。
こんな下手すれば好意だと勘違いしてしまうような行動もサービス業の一貫なの？
こういうことしとけば客つくよ、っていうマニュアル通りに事を進めてる？
それとも…
甘い幻想を抱きそうになり慌てて頭を振るう。
こんな奴には期待しすぎちゃダメなんだ。
どうせ誰にだって甘ったるい笑顔を振りまいて酔わせ落としてるのがオチだから。
でもこのまま何も知らないフリをして彼の仕掛けた罠に堕ち続け、思う存分幸せを貰いながら騙される手もアリなのかなと思ってしまうのも女心だ。
とりあえず今日という久しぶりの独り身のクリスマスが楽しかったからいいや、と思い眠りにつくことにした。
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わい - はじめまして(*^^*)楽しく読ませてもらいました！続きが気になります！更新頑張ってください！楽しみにしてます！ (2017年7月10日 1時) (
レス) id: 397f5c791b (このIDを非表示/違反報告)
寧々(プロフ) - とっぽっぷさん» コメントありがとうございます！そんなことを言ってもらえて本当に本当に嬉しいです！これからも頑張りますね(^^) (2017年2月25日 22時) (レス) id: 232e24a4a7 (このIDを非表示/違反報告)
とっぽっぷ - かっこいいヤスくんにどんどん飲み込まれてくのが悔しいけどドキドキ！みたいな！させてもらってます(〃п〃) 更新ふぁいとです！ (2017年2月24日 8時) (レス) id: 8670bf754b (このIDを非表示/違反報告)
寧々(プロフ) - りんごさん» コメントありがとうございます！楽しみにして下さっている様でとても嬉しいです！！これからも頑張りますね(^^) (2017年2月20日 22時) (レス) id: 232e24a4a7 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - とっても面白いです！バーテンダー、ヤスダくんかっこよすぎて毎日ときめいています 笑。これからも更新楽しみにしています！頑張って下さい！ (2017年2月19日 18時) (レス) id: 005b2bfdb0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寧々 | 作成日時：2017年2月8日 23時
