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『(スーツケース、コインロッカーに置いていけばよかった……)』
荷物が多いせいか、少し疲れてしまった。
近くにあるベンチで休もうと腰を下ろす。
靴がハイヒールだったら靴擦れしていたはず。
私服で来て正解だった。
?「となり、ええどすか?」
『はい、どう……………………えっ⁉︎』
羊「えへへ……久しぶり、やね」
『ひ、ひおりん……?』
羊「そや、ひおりんやでA」
『……え、な、なんで……ここ、に……?』
羊「たまたま近う歩いとったらAの声聞こえたさかい、会いとて着いてきてもうた」
羊は少し恥ずかしそうに笑うと、片手に持っていたソフトクリームをAに差し出した。
『これって、さっきの……』
羊「この店のおっちゃん、僕の知り合い。
せやから特別に作ってもろうたん」
『いいの……?』
羊「ええで、気にせんと」
ソフトクリームのてっぺんを思いっきりひとくち。
『おいし〜!』
羊「ほんまに?喜んでもらえて嬉しい」
『ひおりん様々すぎる』
氷織羊は戸惑っていた。
Aは仕事のついでで観光に来たのだから。
きっと忙しいに決まってる。
羊「なあ、仕事の後って暇やったりする?」
でも、少し……ほんの少しでいいから……
羊「もし、暇やったらでええんやけど……
僕と一緒に観光しいひん……?」
目も顔も合わせられない。
緊張して表情をコントロールできなてないから。
俯きながら考える。
烏だったら、スムーズに誘えたのかな……
烏だったら、Aも楽しかったのかな……
『そう、仕事だよ‼︎‼︎‼︎』
羊「ぅわ……びっくりした……」
『あぁぁ……失敗した……完全に忘れてた……』
羊「う……うん……?」
『(烏くんに会った時に渡しておくべきだった……‼︎)』
もしかして、嫌だったのかな。
普段こんなことしないし……したことないし。
『(いや、でも今日は仕事がてら“京都に観光しに来た”んだ……だったら、明日でも間に合う!)』
羊「無理しなくて」
『ひおりん!』
羊「は、はい……⁉︎」
『もし時間あったら、私と一緒に遊ばない?』
羊「……」
『……え、あ、えーっと、急にごめん』
あはは、と少し気まずそうに笑う。
“誘った”の、僕が先なんだけどなぁ……
でも、同じ気持ちならよかった。
羊「僕もや。同じなんて奇遇やね」
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ネムノキ(プロフ) - LiLiさん» コメントありがとうございます!長らくお待たせしてしまいましたが、本編を更新いたしましたのでぜひ!番外編もよろしくお願いします♪ (4月21日 22時) (レス) id: 2f94861ab5 (このIDを非表示/違反報告)
LiLi(プロフ) - ネムノキさん» 青い檻のバーサーク6の方も楽しみにしてます!!めっちゃ面白いんで頑張ってください!! (4月1日 21時) (レス) id: de7dec8312 (このIDを非表示/違反報告)
ネムノキ(プロフ) - コメント欄にて失礼します!長らく続きを出せず、申し訳ありませんでした!近いうちに氷織&烏編を一気に出すのでお楽しみにしていてくださいm(__)m (3月26日 23時) (レス) id: 2f94861ab5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネムノキ | 作成日時:2024年2月8日 0時