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『っ……⁉︎』

 違う、この人は取引先の方じゃない!

 なぜそう表示されていたかはわからないけど、この声は間違いなく“非通知電話”の人の声だ……‼︎


電話相手《お前のせいで全部台無しになった……
 お前がすべて諦めれば幸せになれたのに!》

 電話を切ろう。
 しかし、相手はそれを許さない。

電話相手《切るんじゃねぇよザコ。
 切ったらどうなんのか分かってんの……》

 『……っ!(やばい、少し息が……吸いづらい……)』

電話相手《お前のせいで全部全部無駄になった!
 あれもこれも全部、お前が生きているせいで……》



——————「お前こそ誰に向かって口聞いてんの」





 静かで低くて怒りを含んだ声のする方を向く。

 『…………な、んで……』


玲王「スマホ」


 『で、でも……』

 狼狽えている私には状況が理解できない。
 すると玲王はAのスマホに向かって言い放った。

玲王「切るんじゃねぇぞ、ゲス野郎。
 俺もちょうどお前と話がしたかった」

 —————————


 あれから5分くらい経って、玲王くんは私のところに戻ってきた。

 玲王くん曰く「少し世間話しただけ」らしい。
 その後に続けて、もうかかってこないはずと言った。

 『……ありがとう』

玲王「ん、気にすんな……寝れるか?」

 『……先寝てて平気だよ』

玲王「うそつき」


 まだ眠いせいか少し強い力で引き寄せられて、やや勢いよく玲王の胸板にAの頬が当たる。

 そして、空いた片手でAの頭を優しく撫でる。

玲王「無理すんなって……」

 『…………してない』

玲王「してなかったら、震えてないだろ」

 『…………』

玲王「俺、お前がとても大切だから。
 だから、勝手に1人で傷ついてほしくない……」

 『…………』

玲王「なんかあったら、俺に言ってくれていい。
 お前のことで迷惑なことなんてひとつもない……」


 きっとAは今、泣いている。

 部屋が暗くてはっきり見えないけれど、俺の腕の中でちゃんと泣いている。


玲王「また泣きたくなったら、俺のところにきて。
 ぜんぶ抱え込まなくていいから……な?」

 『……泣いてない、雨漏り』

玲王「ははっ……じゃあ、ちゃんと修理しねぇとな」


 少し掠れて気持ちの良い低音と、一定のリズムで頭を撫でられたからか、Aはいつの間にか眠った。

 玲王は涙の跡にキスしたとか、してないとか……

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ネムノキ(プロフ) - LiLiさん» コメントありがとうございます!長らくお待たせしてしまいましたが、本編を更新いたしましたのでぜひ!番外編もよろしくお願いします♪ (4月21日 22時) (レス) id: 2f94861ab5 (このIDを非表示/違反報告)
LiLi(プロフ) - ネムノキさん» 青い檻のバーサーク6の方も楽しみにしてます!!めっちゃ面白いんで頑張ってください!! (4月1日 21時) (レス) id: de7dec8312 (このIDを非表示/違反報告)
ネムノキ(プロフ) - コメント欄にて失礼します!長らく続きを出せず、申し訳ありませんでした!近いうちに氷織&烏編を一気に出すのでお楽しみにしていてくださいm(__)m (3月26日 23時) (レス) id: 2f94861ab5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ネムノキ | 作成日時:2024年2月8日 0時

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